パート・アルバイト「休業支援金・給付金」に申請できない!
予算は60万件ぶん、申請は開始後1週間でたった3,365件の理由とは
塩村あやか 参議院議員
「申請できない!」 寄せられた多数の声

7月21日の野党合同ヒアリング。左が塩村あやか氏=塩村氏提供。
しかし、である。
7月10日に郵送申請が開始された直後から「申請ができない」「自分は『休業に該当しない』と会社が言う」という声が徐々に私のもとにも届き始めた。Twitterでツイートをしたところ、さらに多くの声が集まり、問題点も見えてきた。
○ バイトはシフト制で、翌月のシフトを前月に決めるため、コロナによってシフトを入れなかった事が「休業の指示」にあたるのかどうか分からない。
相談者の話を分析していくと、「申請できない・事業主が署名をしてくれない」という理由の殆どは上記であると分かった。私は国会質疑にあたり、厚労省と意見交換を重ねている。その中で「バイトが減った学生も、シフトが入らなくても対象になる」と確認をしている。しかし、現実には「申請できない」という声が殺到し、私は困惑した。
改めて厚労省に確認をすると「雇用主が休業と認めれば対象となる」と苦しげに答えることが続いた。
「使えない制度」の理由とは
実際に申請できず困っているA子さんが携帯の画面を写メしてくれた。そこには雇用主側からのメッセージがあった。
「申請に協力できるか分かりません。シフトを入れていないことを休業としていいのか判断ができないからです。もしも、それが不正認定されると、2倍から3倍ものペナルティを会社が被ることになります」
そうなのだ。
「休業」の定義は極めて曖昧であり、厚労省が制度設計の中で最大限被雇用者(アルバイト)の立場に立って回答をすれば「雇用主が休業と認めれば対象である」となる。しかし、事業主からすると自分の判断について責任が問われる羽目になるため、慎重になる。
すると当然のことながら、労働基準監督署に問い合わせをして、こういう回答を得ることになる。「労働契約書、または、労働条件通知書の内容に沿って判断」せよと。つまり、ここに「週3日、月10日程度」等、明記してある日数だけシフトに入らなければ、休業。契約書や労働条件通知書(労基法15条)に明記がなければ「休業とはいえない」と。この場合、シフトを組まれなかったとしても、休業にはあたらないという訳だ。
労働基準局・監督署がそのような判断基準にこだわれば、被雇用者が事業主の署名なしで申請した場合でも、結局は同じ結果になるだろう。
しかし、ちょっと待ってほしい。
アルバイトの場合、どれだけの人の契約書に、労働条件通知が記してあるのか。学生は試験や長期休暇もあり、一定の日数を働けるという訳でもない。そもそも、正規スタッフだけでは補えない労働力を埋める要員としてアルバイトが活用されていることを踏まえると、時給や日給は明記されていても、日数まで書き込まれていない人が一定数いてもおかしくない。