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人が集まり共同体を創ることの意味とは

コロナが後押しした復興基金というEU統合への更なる一歩

花田吉隆 元防衛大学校教授

格差拡大につながる、財政を統合しないままの通貨、金融の統一

 しかし欧州が、通貨、金融を統一し、財政を統一しないままでいるとはどういうことか。

 通貨統一とは、強いドイツマルクも弱いイタリアリラも同一のユーロになるということだ。ユーロは、対ドルでマルクとリラの間に設定される。つまり、マルクは切り下げられ、リラは切り上げられることに等しい。当然、イタリア経済は苦しくなる。

 金利の統一も同じだ。統一金利の設定により、低金利を享受することになるドイツは景気が刺激され、高金利が課せられるイタリアは景気が冷却される。

 つまり、通貨、金融の統一とは域内の強者はますます強く、弱者はますます弱くなることを意味する。格差拡大に他ならない。

 本来、この格差は財政政策により調整される。強国からの資金を弱者に移転することにより格差が標準化されるわけだ。これは、日本国内を見ればよく分かる。日本という単位でみれば、通貨、金融の統一により目には見づらいが実は地域格差が生じている。それを財政移転で調整しているのだ。そういうメカニズムをEUは欠き、格差が一向に解消されない仕組みになっている。財政をそのままにし、通貨、金融だけ統合することはいずれ破綻必至だと、既にユーロ発足時、各方面から強く指摘されていた。そういういわば欠陥含みの統合がこれまでのEUに他ならない。従って、今回、その是正に踏み出したことは歴史的一歩と言わざるを得ない。

 ただし、復興基金は恒久的メカニズムでなく、あくまで一回限りの7500億ユーロに関するものでしかない。使い切れば終わりだ。更に、EUが共通債を発行し、市場から資金を調達するが、その償還は、

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

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