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テレワーク推進を地方活性化に利用せよ

「箱もの」中心、企業重視ではなく個人への便宜供与が必要だ

塩原俊彦 高知大学准教授

 2020年6月20日、ドナルド・トランプ大統領はオクラホマ州タルサで大統領選に向けた大規模集会を開催した。実は、このタルサでは、2018年11月から、タルサに移住するテレワーカー(リモートワーカー)を支援するための「タルサ・リモート」(Tulsa Remote)というプログラムが開始されている。引っ越し費用、毎月の給付金、1年間のプログラム終了時の給付金を合わせて1万ドルの現金がもらえる。テレワークで働きながら、タルサという都市を楽しんでもらい、人口増加につなげるねらいがある。

 このサイトをみると、仕事を自由にできるスペースが用意されていたり、家具付きのアパートの割引利用ができたり、イベントが開催されたりとさまざまな便宜供与が用意されている。テレワークの仕事が前提だが、同サイトにはテレワーク向けの求人サイトもある。2020年の場合、250人ほどにこうした機会を提供しようとしている。

 ヴァ―モント州でも、2019年1月から「リモートワーカー助成プログラム」がスタートした。テレワーカーが同州に移住してくる場合、彼らを支援するもので、2年間で最大1万ドルが給付される。

 いずれもテレワーカーに目をつけて彼らに移住してもらうことで、新しいコミュニティをつくり、人口減少に歯止めをかけようとしている。これ以外にも、人口増をねらって、移住者に給付金を支払う制度をカンザス州の都市トピーカなどが導入している(ニューヨーク・タイムス2019年12月14日付)。

「ふるさとテレワーク」

拡大大型家具店のショールームでは、テレワークのための展示販売もある=2020年6月19日、東京都新宿区

 日本では、どうなのだろうか。実は、日本には総務省が推進する「ふるさとテレワーク」というものがある。地方のサテライトオフィスなどでテレワークをしてもらい、都市から地方への人の流れをつくり出し、地方創生の実現と働き方改革の実現という一石二鳥をねらったプロジェクトだ。

 2014年度補正予算地域実証事業で、「ふるさとテレワーク」の有効なモデルの検証を全国15地域で行ったというから、その歴史は米国などの動きよりも早かった。その後も事業は継続されており、テレワークをふるさとで行ってもらおうとする支援事業が地方に広がっている。

 2017年4月に総務省の情報流通行政局が公表した「ふるさとテレワーク等の推進について」という資料によると、テレワークによる地方居住の成功事例として、徳島県神山町が紹介されている。取組事例としては、和歌山県白浜町、北海道北見市・斜里町、福岡県糸島市があげられている。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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