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自死した近畿財務局職員の夫人の肉声を放送する

[198]熊本県人吉市、赤木雅子さんインタビュー、アイフォン大捜索……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

病院職員やボランティアの活動に胸が一杯に

ゲジゲジ君拡大ゲジゲジ君=撮影・筆者
7月9日(木) 朝、早く目が覚めた。何だかからだがもぞもぞするので布団のなかをみたら、何とゲジゲジ君がいた。まいったなあ。何だかさらにしみじみしてきたぞ。

 チェックアウトして、人吉市に向けて移動。途中のコンビニでお腹の中にいれる食べ物・飲み物を買う。人吉市内に入る。上空を厚い雲が覆っている。市の中心部の被害を取材。店舗が浸水被害で住民らが泥のかき出しに追われている。

 地域の拠点病院、球磨病院の浸水被害復旧作業も許可を得て内部を取材することができた。病院職員は必死の態勢。1階にあった患者さんのカルテが泥まみれになっていて、それを懸命に水で洗っていた。その水も当初は全くない状態で大変だったという。

 僕らはDMAT(災害派遣医療チーム)の活動に同行して撮影していたのだが、それぞれの人々の動きの的確さに感心させられた。看護師さんたちとかすごい。もたもたしていない。必要最小限のコミュニケーションですばやく行動していた。病院職員も支援メンバーも本当のプロだ。

球磨川の濁流が押し寄せた球磨病院の待合ホール。椅子などは撤去され、泥をかぶったカルテが残されていた=2020年7月7日午後、熊本県人吉市、20200707拡大球磨川の濁流が押し寄せた球磨病院の待合ホール=2020年7月7日、熊本県人吉市

 移動して、ボランティアの受け入れ場所を提供していた「ホテルサン人吉」を取材。このホテル自体も被災しながらの活動だ。泥まみれになっていた高齢者の住宅を、球磨工業高校の高校生ボランティアたちが数人がかりで、泥の撤去、運搬作業をしていた。話を聞くと、高校生たちが自発的にLINEなどでボランティア行きを呼びかけて、あとは口コミも含めて総勢22人でやって来たのだという。教師とおぼしき女性が2人いて一緒に泥出しをしていたが、高校生たちの安全管理のためにむしろ引っ張られてやってきたようだった。汗だくになってスコップで泥をかきだし、一輪車で黙々と運んでいる。何だか胸が一杯になってしまった。

 その後、日本赤十字社熊本県支部の医師・看護師らによる避難所の衛生状態の調査活動に同行取材。人吉市立第一中学校の体育館に設けられた避難所へと向かう。体育館内の避難所には、ボール紙の柱で組み立てられたパーテーション(仕切り)が出来つつあって、布製のカーテンをかける作業が進行中だった。さらに段ボールベッドも続々と到着して組み立てられつつあった。

球磨村の被災者ら61世帯、124人が避難している人吉一中の体育館で9日、段ボールのパーテーションやベッドが設置された。8日にヘリで救出された同村神瀬の伊高寛さん(69)は「おかげさまで、今夜はゆっくり寝られそうです」と話した=2020年7月9日午後3時27分、熊本県人吉市20200709拡大球磨村の被災者らが避難している人吉第一中学校の体育館=2020年7月9日

 非常にシステマティックにものごとが進行している。ピースウィンズ・ジャパンとかAMDAといった支援NGO、NPOの人々が機敏に動きまわっていた。僕らは、とにかく、邪魔にならないように、密にならないように、入り口で手指消毒してマスクを着用、間隔に注意しながら取材をした。VEさんが音声を収録するために長いバーをかざす作業が必要なのだが、これがピリピリした状況下では、緊張を作り出すこともある。僕らはそのことに無自覚であってはならない。長いバーはそれだけで非日常なのだ。

 断続的に雨がやってくる。大型避難所になっているスポーツパレスに移動して、屋外で医師のインタビューを撮る。取材を終えて、今日の宿舎となっている鹿児島県霧島市方面に移動中に、赤木雅子さんから電話が入った。同じTBSの取材を11日に受けることになったが、

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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