女性に支持されなかった安倍政権。そのわけは?~朝日新聞世論調査分析
女性たちはなぜ「支持しません」とはっきり言い始めたのか
小野智美 朝日新聞世論調査部員
男女で評価が分かれる政策も

小泉内閣以降の男女別の支持率・不支持率の期間ごとの平均値
小泉内閣以降の男女別の支持率・不支持率の期間ごとの平均値を表にまとめた。「支持多数」は青、「不支持多数」は赤で示した。
第1次安倍内閣は、男性「不支持多数」、女性「支持多数」と正反対。次の福田内閣、続く麻生太郎内閣は男女とも「不支持多数」だった。
民主党の鳩山由紀夫内閣はその逆。男性「支持多数」、女性「不支持多数」の形だ。続く菅直人内閣、野田内閣は男女とも「不支持多数」。
第2次安倍政権も、男性「支持多数」、女性「不支持多数」の形がたびたび生じる。ただし、支持率の低迷が続いた直近7カ月は男女とも「不支持多数」だった。
なぜ、第2次政権では、男性の多数が支持する時に女性の多数が支持しないということが起きたのだろう。
第2次安倍政権発足時の2012年12月の調査で、支持率は男性64%に対し、女性は54%とやや低めながら、男女とも「支持多数」だった。ただ、この時の調査で男女の評価が分かれる政策が複数あった。
たとえば原発。「自民党は原子力発電への依存度を減らすことで公明党と合意しましたが、原発をゼロにすることは明確にしていません。あなたは、自民党のこの姿勢を評価しますか。評価しませんか」と尋ねた結果は表1の通り。「原発ゼロ」を明確にしない自民党の姿勢を、男性の多くは評価するが、女性の多くは評価しなかった。以下、いずれの表も「その他・答えない」は省いている。
憲法9条改正をめぐっても、男女で濃淡が異なった。自民党がいまの改憲4項目をまとめる前の当時の質問として、「自民党は、憲法9条を改正して、自衛隊を国防軍にすることを主張しています。あなたは、このことに賛成ですか。反対ですか」と尋ねたところ、表2の通り、賛成する男性が4割に対して女性は2割だった。
期待感が続かなかったアベノミクス

表3
この時、アベノミクスへの期待感も尋ねた。「あなたは、安倍首相の経済政策に期待できると思いますか。期待できないと思いますか」と尋ねた結果は、表3の通り。「期待できる」は男性54%に対し、女性は45%だったものの、男女とも多数が期待感を示した。
だが、その期待感も長続きしなかった。
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