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近畿財務局職員自死の翌日に訪れた同僚が語ったこと

[199]講談社本田靖春ノンフィクション賞、西谷修さん、那覇……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

7月15日(水) 朝、プールへ行き泳ぐ。雑念を振り払え。今日は、自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・雅子さんの提起した民事訴訟の第1回口頭弁論が14時から大阪地裁で行われる。コロナ禍のあおりを食らって僕らは出張取材が見送られてしまったので、残念至極だ。赤木さんとは口頭弁論の開廷の前に短く電話で話すことができた。行けずに残念だと伝えたら、今日行けないことをすでにご存知だった。あれっ? 不思議、不思議。

 14時からペンクラブの理事会。密を避ける趣旨でオンライン参加。芥川賞と直木賞の発表。直木賞に馳星周、7回ノミネートの末。やはり大阪に行きたかったなあ。おそらく赤木さんは意見陳述をきちんとやり遂げただろう。

 夜、NHKの『クローズアップ現代+』をみて、そのしっかりとしたつくりに驚いた。初めてみる映像や音声記録もあった。『クロ現』はきちんと取材していた。自死の3日前の俊夫さんのスマホで撮られていた映像。明らかに変調をきたしていることがわかる。本人はどん底の状態で苦しんでいたのだろう。衝撃的だった。いろいろなことを考えさせられた。

NHK「クローズアップ現代+」の「“森友問題” 裁判はじまる~疑問は明らかになるのか~」(2020年7月15日)のテレビ画面より拡大NHK「クローズアップ現代+」の「“森友問題” 裁判はじまる~疑問は明らかになるのか~」(2020年7月15日)のテレビ画面より

 僕が個人的に最も驚いたのは、俊夫さんの自死の翌日に自宅を訪れた近畿財務局の「同僚」が、雅子夫人に発していた言葉だ。その録音が残っていた。この「同僚」は、俊夫さんが残していたメモなどは「公表を控えるように」と雅子さんに釘を刺していた。さらに雅子さんが将来「財務局で働くことができるようなことがあり得るかどうか」などと、再就職をにおわせるような卑劣な言葉まで発していた。こんな録音が残っていたとは。雅子さんも腹をくくって、この音源を『クロ現』スタッフに託したのだろう。

 東京都の小池知事の記者会見をみていると、フリップに「感染拡大警報」などとキーワードを1行だけ書き込んで、しっかりとデザインしてカメラ目線でかざしている。カメラマンは、わかりやすくて絵になるからフリップをかざす知事を必死になって撮る。こういう記者会見での演出は、テレビのキャスターそのまんま。プレゼンテーションと政策立案とは本来別次元のものだが、小池知事の場合、両者が同じ次元になっている。政治がテレビショー化しているのか、テレビが政治をショー化したのか、どっちもどっちだ。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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