メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

10代で学ぶ「いかに抵抗するか」 ナチス政権のゆがんだ罪と罰

【18】ナショナリズム ドイツとは何か/フランクフルト② 抵抗を学ぶ教育現場

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

授業が濃密になるわけ

 授業はここまでで30分ほど。密度の濃さにいきなり驚いた。話を進める前に、ドイツの教育やこのクラスの位置づけを説明しておく。

 ドイツの教育は大まかに言えば、日本の中学一年生にあたる7年生になると、進路によって教育課程が三つに分かれる。9年生で卒業して就職し職業訓練を受ける「ハウプトシューレ」、10年生で卒業して専門学校に通ったり事務職になったりする「レアルシューレ」、12~13年生で卒業して総合大学を目指す「ギムナジウム」だ。

 このクラスは「ギムナジウム」の10年生にあたる。「豊かな家庭の子や、そうでない子が混ざっています。ドイツでは親の収入と子供の教育が関係しないように取り組んでいます。学校はほとんど公立で各州に属し、このヘッセン州では授業料はいらず、教科書も州が買います」(ロットマンさん)

 そして、歴史教育でナチズムを扱う手厚さだ。「石器時代からベルリンの壁崩壊までを教えますが、10年生ではナチズムに4~6カ月かけます。国語でも『アンネ・フランクの日記』などでナチスの話がよく出るので、『またか』みたいな反応も時々ですが」(スキピスさん)。そうした蓄積の上に、この授業がある。

拡大歴史の授業で手を挙げる生徒たち

 生徒たちの手の挙げ方が、軽く指を立て頭の少し上ぐらいまでという感じだった。私は教室の後ろで一緒に授業を見ていたロットマンさんに、「ナチス式敬礼にならないようにですか」と聞いてみた。「いや、単に大人っぽく挙手してるんでしょう。小さな子供は『先生先生!』と元気に挙げますが、それも真上ですから」

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

藤田直央の記事

もっと見る