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「国家の物語」を超えて 歴史教科書で探る戦後ドイツの和解 

【21】ナショナリズム ドイツとは何か/ブラウンシュバイク① 国際教科書研究所へ

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

創設者にナチス参加への反省

――ドイツが戦後、侵略した欧州の国々と対話を進めたことは知られていますが、この研究所はその対話を、ナショナリズムと縁の深い歴史教科書を通じて促してきました。とても興味深い活動です。まず研究所の由来から教えてください。

拡大インタビューに応じる国際教科書研究所のエッカート・フクス所長

 第二次大戦後にドイツは欧州に居場所を見いだすため以前の敵と和解せねばならず、冷戦下で西ドイツはまず西欧の国々と向き合いました。だがフランス、イギリス、ベネルクスの国々の教科書は自国を熱狂的に讃えるステレオタイプに満ちていました。

 将来を担う子供たちの心を平和へと向けるためこの問題に取り組まねばならないというのが、ゲオルク・エッカートが30代後半の1951年にこの研究所の前身を立ち上げた時のアイデアでした。歴史学者のエッカートは戦前は歴史や地理の学者で、師に逆らえずにナチスに参加し教師を務めたことを反省していました。
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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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