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民主主義はいかにして崩れたか ワイマール憲法採択の地の証言

【28】ナショナリズム ドイツとは何か/ワイマール⑤ ホロコーストと市民

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

史料館「ワイマール共和国の家」

 広い一部屋での展示に説明のパネルが並ぶ中、奥のガラスケースに義手が置かれていた。第一次大戦での負傷兵が社会に復帰するため、地元チューリンゲン州の企業が作ったものだ。「270万人のドイツ兵が心や体に傷を負って戦線から戻った。政府は彼らをできるだけ労働市場に再統合しようとした」とある。

拡大第一次大戦での負傷兵が社会復帰するために作られた義手の展示

 域内を統一したドイツ初の近代国家であるドイツ帝国は第一次大戦で敗れ、帝政が終わった。甚大な被害と敗北感の中で、ワイマールが憲法制定の地となった新国家に期待されたのは「華やかさとすばらしさだった。軍国主義と崇拝は過去の帝政のものとされ、市民による共和制が培われねばならなかった」。

 1919年7月に国民議会で採択されたワイマール憲法は、ドイツで初めて女性にも参政権を認め、比例代表制の国会と直接選挙の大統領制を導入。表現や報道の自由、思想や良心の自由などの基本的人権を掲げ、国会は立法と行政監視を担う中心的存在とされた。

拡大1919年に採択されたワイマール憲法の冊子と、作成に携わった人たちの展示

 このワイマール体制の下で、ヒトラー率いるナチスがいかに台頭し、民主主義を壊していったのか。まず、どんな人々がナチスを支持したのだろう。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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