コロナの「ステイホーム」で妻はなぜ不満を爆発させるのか?
共働きが増えても、家庭の男女の役割分担意識を捨てるのは難しい。さて、どうする?
円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

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ホームステイ先のストックホルムの友人の家で、朝起きてコーヒーを飲もうとキッチンに行くと、友人の恋人が来ていて、1歳くらいの男の子に朝食を食べさせている。「おはよう。コーヒー入れたから飲んでね」。
友人は既に勤めに出ていて、恋人の彼は、別れた妻がイギリスへ休暇旅行に出掛けたので、子どもを預かっているのだという。食事を食べさせる手つきも紙おむつを変えるのも慣れたもの。普段は母親と暮らしている息子だが、週の半分は保育園の送迎をし、彼の家で週の1日は過ごすという息子と父親の関係はとても親密だ。
スウェーデンの保育園のキッチン
彼は息子が生まれる前から、両親学級で沐浴の仕方、離乳食の作り方、うんちのお尻の拭き方などすべて習っていて、赤ちゃん用の毛糸の帽子も靴下も編んだと聞いて、私は驚いてしまった。
「えーっ、私、赤ちゃんの靴下なんて編めない!」という私に、「おや、日本の女性も困ったもんだね」と彼は笑って、ジャーナリストなら保育園の取材に行くといいと教えてくれた。幼い時から男女の別なく料理も編み物もできるよう、訓練しているという。
保育園に行くと、3才、4才のこどもたちがじゃがいもやにんじんを切り、シチューをつくっていた。子どもたちの背丈にあわせた調理台のあるキッチンがあり、調理はお絵描きや歌と同じようにカリキュラムのひとつなのだ。広いベランダでは大人用の大工道具ののこぎりやかなづちを使って、園庭に来る小鳥たちの巣箱を作っていた。
男女共に、幼いうちから性別に関係なく生きるための技術を身につけ、できることはするということが、したくでもできない人、つまり障がいをもつ人たちを支えることになると園長は言った。40年以上も前の話である。