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ポスト安倍は「麻生」か「菅」か/安倍vs二階の攻防激化

安倍内閣総辞職の可能性強まる。「佐藤栄作」越えの24日以降か

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

「首相吐血」の真偽

 安倍首相の体調問題と言えば、第1次政権を投げ出した原因とされる持病の潰瘍性大腸炎が指摘される。

 17日に5台の車列を組んで向かった慶應大学病院では7時間半ほど病院内に留まった。安倍首相の周辺が弁明した「追加検診」「通常の健康チェック」という言葉では説明がつかないほど長い滞在時間に、「持病が悪化したのではないか」などと様々な憶測を呼んだ。

 個人の健康というセンシティブな問題について、外部から論評することは一般に適切ではない。だが、国家の最高権力者の健康問題はこの国で暮らす多くの人々の暮らしに直結する重大問題だ。まして今はコロナ禍という国家的危機にある。国会も首相の記者会見も開かれず、首相の健康状態について首相官邸から明確な説明がない現状において、首相の健康を巡る情報を分析し、考察を加えることは許されるであろう。

 私はこの17日夜から18日未明にかけて、安倍首相の病院入りの真相について複数の情報を得た。それらの情報はツイッターですぐにツイートした。フリージャーナリストである私は、掴んだ情報は情報源を特定されないように細心の注意を払いながら即座に流すことにしている。

 国民が知るべき情報について、自分一人が胸に秘めておく特権は私にはないからだ。そのツイートの一つは次のものだ。

また追加情報が入った。昭恵と親しい元代議士が確認したところ昭恵は一笑に伏していたとの事。「小さい頃から仮病に関しては迫真の演技をする」という父晋太郎による晋三評もあるそうだ。元代議士による有力情報。先頃流れた吐血の話もウソ情報。国民相手に観測気球多すぎる。

 断っておくが、私はツイッターでは公人や著名人にはほとんど敬称を略させていただいている。字数が限られている上に、特に政界関係者に対しては国民の一人からの「つぶやき」という趣旨を貫くためだ。

 だが、「一笑に伏して」は「一笑に付して」の間違いである。この点は私のミスだ。

 このツイートに対する安倍首相支持層からの反響は凄まじいものがあった。しかし残念なことにと言うか驚くべきことにと言うか、386もあったリプライコメントの内容はほとんど同一だった。私がかつて在籍していた朝日新聞社への批判で、文言も寸分変わらないものが多かった。政界の司令塔筋からの指示に基づくものかもしれない。

 「安倍総理が、7月6日に首相執務室で吐血した」

 週刊フラッシュがこの情報を流したのが8月4日発売号。私はこの話に関しても真偽を疑う情報をすぐに掴み、ツイートした。

拡大首相官邸を出る安倍晋三首相=2020年8月20日、首相官邸


筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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