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バイデン政権が誕生するとき自動車産業は?

日本のお粗末さがまたも浮き彫りに

塩原俊彦 高知大学准教授

 2020年11月3日に予定されている米国の大統領選でジョー・バイデンが大統領に選出されると仮定して、米国の環境対策がどのように変化し、それが自動車産業におよぼす影響について考えてみたい。やや先走った議論だが、すでに世界は内燃機関を搭載した自動車の禁止、すなわち電気自動車(EV)優先の方向に舵を切っている。こうした現状を紹介しつつ、米国政府がその流れを踏襲すると予測し、のんきな日本の政府と自動車産業の行く末を占ってみたい。

バイデンはトランプに比べて少しだけ環境重視

拡大バイデン前副大統領 Matt Smith Photographer / Shutterstock.com

 バイデンは7月14日、クリーンエネルギー計画を明らかにした。それによると、彼の大統領1期目の間に2兆ドルもの加速的投資を実施し、電力部門では、2035年までに二酸化炭素排出をなくす(「ゼロ・エミッション」)ためにクリーンな電力を積極的に生成するという。自動車産業では、国内の自動車向けサプライチェーン、自動車インフラの整備によって100万人の新規雇用を創出する。

 EVに関連して、50万のVE充電ステーションを含む自動車インフラへの大規模な公共投資を行う。

 ただし、バイデンはバラク・オバマ政権時代、副大統領として核発電所(原子力発電所のことだが、ここでは核発電所と記述する)の開発を支持してきた。オバマ時代、エネルギー省は代替原子炉の設計・開発の支援のためにX-energyとSouthern Companyの2社に約5年間でそれぞれ最大4000万ドルを提供するとしてきたのだ(ニューヨーク・タイムズ2016年1月19日付)。ゆえに、この新計画でも、バイデンは気候に関する新たな高等研究計画局(ARPA-C)の創設を表明し、そこで現在の原子炉の半分の建設コストで、より小さくより安全でより効率的な原子炉の開発をめざすとしている。

 オバマ大統領当時の2012年8月、2025年までに新車やトラックの平均燃費を2倍近くにする新ルールが連邦レベルで承認されたことがある(ニューヨーク・タイムズ2012年8月28日付)。ところが、ドナルド・トランプ大統領になって、「2021~2026年モデルの「より安全で手ごろな価格の低燃費車」(SAFE)最終規則」によって、オバマルールを骨抜きにした。ただ、2019年8月の情報(ニューヨーク・タイムズ2019年8月20日付)として、「カリフォルニア州と他の13の州が、現在の厳しい規制を継続して実施し、トランプ政権を訴える予定」とされていた。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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