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Amazonプライム問題で注目 三浦瑠麗さんの「平和のための徴兵制」に異議あり

多岐にわたる多大なコスト。これで「血のコスト」を若者は理解するか?

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

一般にイメージされる「徴兵制」とは

 しかし、ここで話が終わってしまっては議論が深まりません。そこで、国民が「血のコスト」を理解しうると思われる「平和のための『一般的』徴兵制」を、敢えて私が設定して、考えてみましょう。

 まず「徴兵制」という言葉から一般にイメージされるのは、恐らく「韓国・イスラエル程度の徴兵制」であり、三浦氏も前出の著作の中で、非常に大きな部分を韓国・イスラエルの徴兵制の紹介に割いています。

 そこで三浦氏の著作から韓国の徴兵制を見ると、韓国軍62万5千人のうち40万人が徴集兵であり、対象は18歳~30歳の男子で期間は1年6カ月~1年10カ月、様々な事情による免除もありますが、応召率は7割とのことです(三浦瑠麗. 21世紀の戦争と平和―徴兵制はなぜ再び必要とされているのか― 〈Kindle の位置No.2708-2720〉)。

 また、イスラエルは男女とも徴兵の対象で(ただしユダヤ教徒と、イスラム教ドゥルーズ派の教徒が対象で、それ以外の宗派の者は志願は出来るが徴兵の対象ではない)、徴兵期間は男性が18歳~21歳の2年8カ月、女性は18歳~20歳の2年で応召率は72%、国軍16万8千人のうち兵役による徴集兵が10万7500人を占めるとされています(三浦瑠麗. 21世紀の戦争と平和―徴兵制はなぜ再び必要とされているのか― 〈Kindle の位置No.2711〉、参考)。

拡大談笑するイスラエルの徴兵された兵士たち Mick Harper/shutterstock.com

 このレベルの徴兵制、すなわち国民のほぼ全員が主に20代において1年程度兵役につく徴兵制であれば、確かに国民の多くが現実に何らかの意味で「戦争」に触れることになりますので、実際にどうなるかはさておき、「まだしも『血のコスト』を理解しうると思われる」ことには、同意して頂けると思います。また、「徴兵制」という言葉から一般にイメージされるのはこのレベルの徴兵制であることにも、さしたる異論はないものと思います。

 そこで、国民が「血のコスト」を理解することができる「平和のための『一般的』徴兵制」として、あえて氏の提唱とは異なる「20~29歳の全国民に1年間兵役義務を課す」徴兵制を、韓国、イスラエルの例から応召率を7割として考えてみましょう。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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