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「意識高い系」の「デジタル・ビーガニズム」

ぜひ学校で教えてほしい米国家安全保障局の提言

塩原俊彦 高知大学准教授

 残念ながら、いまの日本の若者もビジネスマンも総じて世界の潮流を知らないか、あるいはその変化に鈍い。若者については、拙稿「牛肉と意識高い系:世界で強まる風当たり 日本は「意識低い系」?」のなかで、「意識低い系」の日本の若者を慨嘆した。ここでは、プライバシー保護に鈍感な日本の多くの人々への警告として、世界に広がる「意識高い系」の「デジタル・ビーガニズム」について紹介しよう。

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「デジタル・ビーガニズム」って何?

 前述した拙稿に書いたように、温暖化ガスを大量に排出する牛の頭数削減の必要性にめざめて牛肉を食べない人々が増えている。さらに、牛だけでなく、動物そのものを食べず、牛乳やチーズも食さず、環境をできるだけ損ねない生き方をめざそうとする「ビーガニズム」(veganism)が世界中で注目されている。いわば、「完全菜食主義」と訳すことができる。

 このビーガニズムをテクノロジーに関連した環境下で実践しようというのが「デジタル・ビーガニズム」(digital veganism)だ。

 デジタル・ビーガニストは、菜食主義者が動物系の食料を忌避するように、ある種のテクノロジーを「倫理的でない」として、その利用を拒否する。「デジタル・ビーガニズムって何」という記事によれば、「ビーガニズムは多くの点で、特定のものを拒絶することである」としたうえで、非倫理的だと思うことを伝えて、だれかに権力を与えるのを拒否したり、自分はこれに参加できないと主張したりしているという。これと同じ姿勢をデジタル技術分野で貫こうというのがデジタル・ビーガニズムということになる。

 わかりやすく言えば、いまどき「焼肉大好き」などといっている連中を嘲笑するのと同じように、日本でLINEを使って連絡を取り合っているような人々を「ダサい」とけなすのがデジタル・ビーガニストだ(筆者はゼミ生にはシグナル[Signal]を勧めているが、いま香港でSignalが急増している理由を考えると複雑な気持ちになる[Signalの流行については資料を参照])。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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