大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント
1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。
自民党総裁選、衆院解散総選挙、野党の合流新党への影響は……
以上が総裁選の想定しうるスケジュールですが、今わかっている範囲で今後の展開をできる限り読みたいと思います。
首相は、辞職を表明した記者会見において、今回の病状変化について「6月の定期検診で再発の兆候が見られた」と説明しました。総理動静などをみればわかるように、麻生太郎副総理とは、その際から時には官邸で2人きり、あるいは私邸で2人きりで何度も面談を重ねてきたことから考えると、麻生副総理との間では、今回の安倍政権をどのように終えるのか、きちんと連携していたことは間違いないでしょう。むしろ、それ以外の党幹部が今回の辞職会見に驚いていることからすると、首相の胸中を知っていたのは麻生副総理だけだと思います。
今回、首相は臨時代理を置かず、新しい総理・総裁が選出されるまでの間、引き続き総理の任にあたると表明をしました。その一方で、これまでの薬に加えて点滴投与による治療をはじめたことも説明をしていたことから、最悪のケースとして、「麻生臨時代理」の想定も間違いなく検討していたでしょう。
そうなると、やはり麻生副総理との間には、安倍首相がどのように退陣するかというプランだけでなく、不在後の新しい総理・総裁による現政権の政策継承プランまで話をしているはずです。以上のことから、総裁選は、麻生・安倍ラインを中心とした勢力と、それ以外の勢力との構図を中心に展開されると思われます。
では、具体的に総裁選には誰が立候補するのでしょうか。
ここ数週間、安倍首相の体調不良が報じられてから、様々な動きが見られました。現在、総裁選への出馬の意向を明確に示し、かつ総裁選への出馬要件である推薦議員20人を確保できる見通しなのは、石破派の石破茂元幹事長、岸田派の岸田文雄政調会長、麻生派の河野太郎防衛大臣(五十音順)の3人でしょう。さらに、菅義偉官房長官や、西村康稔経済再生担当大臣、野田聖子元総務大臣、下村博文自民党選対委員長などの名前も挙がっています。
今後の総裁選についての見通しは、現時点でさほど材料があるわけではなく、未知数の点も多いのですが、特に無派閥の議員や当選回数の少ない議員を中心に相当な駆け引きが行われ、派閥の合流など自民党の勢力構図が大きく変わる可能性も十分にあると思います。
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