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辞任表明でも安倍首相がこだわる敵基地攻撃能力 次の首相は引き継ぐのか

次の政権の性格を左右 自民党総裁選で避けず議論を

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

欺瞞を置き去りの拙速さ

 安倍首相が6月18日の会見で唐突に発言した時にも筆者は「論座」で指摘したが、この時期に敵基地攻撃能力を持つ形で「ミサイル阻止に関する安保政策の新たな方針」を打ち出すなら、説明責任を果たさぬ「三つの欺瞞」を正さねばならない。

 第一に、政府がこの議論を持ち出すきっかけにした、陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備断念について検証し、説明すべきだ。2017年末に導入を閣議決定までして、すでに米側に196億円も払っている。

 第二に、安倍首相は6月18日と今回の会見でともに北朝鮮の弾道ミサイル能力向上を理由としたが、2018年以降の米朝協議を経て日本周辺へのミサイル発射が激減する中で、なぜ敵基地攻撃能力を持つ必要があるのかを説明すべきだ。

 第三に、安倍首相は6月18日と今回の会見でともに触れなかったが、中国との関係を明確にすべきだ。日本も射程に入る中国の弾道ミサイルは、中台問題への米国の介入阻止が主眼である。ならば、日本が中国に備えて敵基地攻撃能力を持つ理由は何か。

拡大米ハワイ州カウアイ島にある米軍のイージス・アショア実験施設=2018年1月。
 

 安倍首相は今回の会見でも、この3点に全く触れず置き去りにし、敵基地攻撃能力の保有を含む「ミサイル阻止に関する安保政策の新たな方針」のたがを次の首相にはめるような発言をした。拙速と言わざるを得ない。

 第一のアショア断念の検証不在は拙速そのものだが、第二、第三も次の首相には重荷になる。とりわけ外交面だ。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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