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自民党政権の常識からかけ離れた安倍政権「官邸支配」の功罪

首相の側近が決めた政策を各省が実施。迅速、革新的になった政策の多くに成果乏しく

薬師寺克行 東洋大学社会学部教授

 7年8カ月に及んだ第2次安倍内閣が突然、幕を閉じた。この政権の特徴の一つとしてよく言われるのが「官邸主導」、あるいは「安倍一強」という言葉だ。

 これは、自民党内の権力闘争で安倍氏が圧倒的な力を持っていたことを示す言葉であると同時に、主要な政策決定のプロセスで、過去の政権では例がないほど首相官邸に権力が集中していたことを示すものでもある。

拡大辞任会見で記者の質問に答える安倍晋三首相=2020年8月28日午後5時53分、首相官邸

政策を立案し各省に指示をする「官邸官僚」

 歴史の長い自民党政権は、大事な政策を決めるときに、霞が関の官僚組織や自民党の族議員らとの調整が不可欠となっている権力分散型のシステムが基本となっていた。つまり、首相が指示すれば、官僚も与党も黙って従うという仕組みにはなっていないのである。そのため、各省間の調整や自民党支持団体間の利害調整などが不可欠で、ときには膨大な時間と労力が必要だった。

 ところが、安倍政権はこうした常識からかけ離れた政権だった。安倍首相が重要と考える政策は、首相を取り巻く「官邸官僚」と呼ばれる側近グループが企画立案し、それを関係省に指示するという、これまでとは逆のベクトルで動いた。

 そうした「官邸官僚」の中心にいるのが、今井尚哉・首相補佐官(経済産業省出身)、和泉洋人・首相補佐官(国土交通省出身)、杉田和博・内閣官房副長官兼内閣人事局長(警察庁出身)、長谷川栄一・内閣広報官(経済産業省出身)、北村滋・国家安全保障局長(警察庁出身)らである。

 いずれも官僚出身の彼らのポストは、通常の官僚人事とは異なる「政治任用」ポストで、首相が退陣したからと言って元の官庁に戻るわけではない「片道切符」の人事で起用されている。つまり、側近中の側近の集団であり、首相への忠誠心は極めて強い。

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筆者

薬師寺克行

薬師寺克行(やくしじ・かつゆき) 東洋大学社会学部教授

東洋大学社会学部教授。1955年生まれ。朝日新聞論説委員、月刊誌『論座』編集長、政治エディターなどを務め、現職。著書に『証言 民主党政権』(講談社)、『外務省』(岩波新書)、『公明党』(中公新書)。編著に、『村山富市回顧録』(岩波書店)、「90年代の証言」シリーズの『岡本行夫』『菅直人』『宮沢喜一』『小沢一郎』(以上、朝日新聞出版)など。

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