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「安倍・麻生」vs「二階・菅」 国家権力を私物化する総裁選の行方

麻生総理、二階総裁、菅幹事長……「総総分離」案も浮上!?

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

河井夫妻の公選法違反事件

 「政権の私物化はあってはならないことであります」

 安倍首相はそう語ったが、西日本新聞記者の質問にあったように「森友学園、加計学園、桜を見る会の問題」は、多くの国民の目からはまさに「政権の私物化」問題に見える。

 念のために記しておけば、政権とは国民の公的な負託があって初めて構築できるもので、そこに自らや自らの周囲の人間を益するような私物化が存在すれば、道義的な批判を招くどころか即座に刑事問題となるべきものだ。

 西日本新聞記者の質問の中には例示されていなかったが、安倍首相の頭を悩ますもう一つの大きな刑事疑惑問題が存在する。「辞任表明」記者会見3日前の8月25日に東京地裁で初公判が開かれた河井克行、案里両夫妻の公職選挙法違反事件だ。

拡大参院選で広島選挙区に立候補した自民党の河井案里氏と街頭演説する安倍晋三首相=2019年7月14日、広島市

 この事件は、昨年7月の参院選で河井夫妻が、選挙区の広島県議や広島市議ら有力者計100人に計約2900万円を配ったとされるもので、その原資となったかどうかはよくわからないが、自民党本部は案里候補者に1億5000万円もの破格の運動資金を交付していた。

 1億5000万円は通常の候補者の10倍もの交付金。有力者らに配った金額をそのまま引き算すれば残りの1億2000万円あまりはどこに消えたのか、という問題が残る。政党交付金の分配は党幹事長の仕事だが、これだけの資金を出すには当然ながら安倍自民党総裁の許可が必要だ。

 案里候補者の選挙運動には安倍首相の複数の秘書が参画していたことも知られている。私に入ってきた情報によれば、東京地検特捜部は、1億2000万円の消えた先とともに、このあたりのことにもいまだに強い関心を持ち続けているようだ。破格の資金交付を許可し、自らの秘書たちが深く関わってきた選挙だけに、安倍首相にとっては公判途中でどのような事実が出てくるか非常に気になる事件だろう。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

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