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【2】無惨なる安倍政権を支えたマスメディア

民衆が自らの力を自覚してしまうことを、権力は恐れてきた

白井聡 京都精華大学人文学部准教授

「体調不良による辞任」の演出、共犯者としてのメディア

 上に述べてきた退却、堕落の延長線上に、安倍首相辞意表明の過程においてメディアが果たした役割の問題性がある。安倍が健康を害してきており、政権を投げ出すのではないかという観測が広がり始めたのは、7月頃であっただろうか。確かに、安倍の表情からは生気が失われ、足取りは重く、いかにも体調が思わしくない様子が見て取れるようになった。

 そして、8月半ば過ぎから局面は一気に動き始める。8月16日に、盟友甘利明が

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筆者

白井聡

白井聡(しらい・さとし) 京都精華大学人文学部准教授

1977年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。専攻は政治学・社会思想。著書に『永続敗戦論――戦後日本の核心』(太田出版)、『未完のレーニン――〈力〉の思想を読む』(講談社選書メチエ)、『「物質」の蜂起をめざして――レーニン、〈力〉の思想』(作品社)『国体論――菊と星条旗』(集英社新書)。共訳書に、スラヴォイ・ジジェク『イラク――ユートピアへの葬送』(河出書房新社)、監訳書にモイシェ・ポストン『時間・労働・支配――マルクス理論の新地平』(筑摩書房)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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