メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「新自由主義ではない、明るくあったかい方に向かっていけば新党は絶対勝ちます」

原口一博インタビュー/下

木下ちがや 政治学者

 国民民主党国対委員長として、合流新党へのプロセスを主導した立役者のひとり原口一博元総務大臣に、これからの野党の目標と課題について聞く2回目。=インタビューは8月26日、国会内で行いました(聞き手・木下ちがや/政治学者)

原口一博インタビュー/上「国民民主党は立憲民主党より右だとかよく言われますが、全然違います」

安倍さんのキャラクターと自民党政治の変質

拡大原口一博元総務相(左)と聞き手の木下ちがやさん=2020年8月26日、国会内

木下 合流新党に参加を表明した中村喜四郎さんには「本気の強さ」があり、それが保守の魅力になっていると原口さんは言いました。一方で、安倍政権のほうには本来の保守が持っていた魅力がないのではないか。原口さんは自民党はアメーバのような政党だとおっしゃっていますが、安倍さんによって自民党は変わってしまったんでしょうか。ただ安倍さんという人は、世間でいわれているような冷酷な人ではないですよね。安倍さんは原口さんが難病(骨形成不全症)で入院されたときに、激励のメッセージを送られていたと思います。

原口 そうです。決して冷酷な人ではない。安倍さんもまた野中さんとは違う二面性を持っています。

木下 安倍さんの周囲に人が集まってくるのは、それだけの根拠があるのでしょう。ただここまで政権が腐蝕してしまうとは、みな思わなかったはずです。

原口 安倍政権が発足するとき、女房役になった菅さんと何かの機会で食事をしたことがありました。そのとき、安倍さんの温かい面はおじいさんの安倍寛さんにつながる部分だという話が出た。安倍寛さんは大変リベラルな政治家でしたからね。ところが安倍さんはもう一人のおじいさんの岸さんを追っかけてしまった。そのために安倍さんがもともと持っていた安倍寛さんのよきリベラルな特質が裏に隠れてしまったんでしょうね。

 安倍さんの政治家としての良さは、仲間を徹底的に大事にする点です。しかしそれが人治主義になり、縁故主義になり、森友になり桜を見る会になった。安倍さんは近づいてきた人には徹底的によくする。その外側の人は徹底的にたたく。彼の内閣を特徴づけ、スポイルしてしまった一番の特質ですね。だけどそれは、安倍さんの周りの人にとっては非常に心地いいし、公益を私物化して莫大な権力を得た。とくに大きな特徴はメディアを支配したことです。SNSを使ってメディア操作をして、NHKまで支配を及ぼしたのは、従来の謙抑的であった自民党政権、たとえば宮沢内閣などとは極にありますね。

木下 安倍さんというキャラクターと、自民党政治の変質がうまく合ってしまったということでしょうかね。

原口 合っちゃった。小選挙区制の特質と内閣人事局の設置が相まって、長期独裁政権を作ってしまった。民主党政権は自民党の利権を徹底的につぶしにいったんですが、僕らには団結の弱さがありました。ワイマール政権のあとにヒトラーが出てくるのと似ているかもしれません。社会が揺れてるときはアイデンティティのクライシスが起きますから、安倍さんのような見せかけの右翼に自分を投影するほうが簡単なんです。その簡単なところに、インフルエンサーを使いながら非常な勢いで浸食していった。1920年代終わりからの世界の様相と同じ歩みをしましたね。彼らにとっては格差がひろがることが、逆にエンジンに燃料をくべることになった。おそれが広がることが彼らの推進力なんです。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

木下ちがや

木下ちがや(きのした・ちがや) 政治学者

1971年徳島県生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、工学院大学非常勤講師、明治学院大学国際平和研究所研究員。著書に『「社会を変えよう」といわれたら」(大月書店)、『ポピュリズムと「民意」の政治学』(大月書店)、『国家と治安』(青土社)、訳書にD.グレーバー『デモクラシー・プロジェクト』(航思社)、N.チョムスキー『チョムスキーの「アナキズム論」』(明石書店)ほか。

木下ちがやの記事

もっと見る