メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

自民党と合流新党 党首選挙では何を問うべきなのか

綱領との関係を見ることが政党政治と民主主義の王道である

田中信一郎 千葉商科大学基盤教育機構准教授

 2020年9月は、与党第一党と野党第一党の党首選挙が同時に行われる、憲政史上で稀有な月となった。自由民主党は、安倍晋三総裁(首相)の辞任表明により、総裁選挙を行う。立憲民主党と国民民主党などが合流する新党も、代表選挙を行う。

与党第一党と野党第一党の党首選挙

拡大災害対応に関する申入書を菅義偉官房長官(右)に手渡す立憲民主党の枝野幸男代表=2018年7月9日、首相官邸

 これは、両党の関係者だけでなく、すべての有権者にとって政党政治を考える良い機会でもある。政党は、議会制民主主義において不可欠の組織であるにもかかわらず、憲法上の位置づけはなく、私的な運営がまかり通る不思議な組織だからだ。かつての自民党総裁選では、しばしば現金が飛び交うといわれたが、総裁選での票の買収は違法でない。

 多くの有権者が政党に所属せず人生を過ごす一方、国政選挙で政党を考慮せずに投票することは難しい。どのような社会を目指すのか、党首や候補を信頼できるのか、自らの重視する課題は解決されるのか、政権を維持するのか変えるのかなど、政党や候補の示す様々な情報を踏まえて、有権者は一票を投じる。

 有権者が政党に無関心であっても、政党の方から追ってきて、あらゆる有権者に影響を及ぼす関係にある。日本に住む誰もが、政党政治から逃れられない。このことは、中学校の社会科ですべての有権者が学んでいるはずだが、自覚している人はそれほど多くないだろう。

 両党の党首選挙が同時に行われることは、それだけ報道が増え、有権者の政党政治への関心が高まることになる。自覚的か無自覚的かにかかわらず、それだけ多くの有権者が政党政治を考えることは、民主主義の発展にとってプラスであってもマイナスではない。

 そこで、議会制民主主義の観点から、党首選挙をどのように見るべきか、視座を提供する。従来は、党首候補の人柄や目につく主張などが場当たり的に報じられ、有権者は共通の視座を持っていなかった。けれども、議会制民主主義において政党政治が不可欠な以上、有権者として共通の視座は存在する。この視座から不足する情報があれば、有権者はその説明を党首候補に求めることが適切である。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

田中信一郎

田中信一郎(たなか・しんいちろう) 千葉商科大学基盤教育機構准教授

博士(政治学)。国会議員政策担当秘書、明治大学政治経済学部専任助手、横浜市地球温暖化対策事業本部政策調査役、内閣府行政刷新会議事務局上席政策調査員、内閣官房国家戦略室上席政策調査員、長野県企画振興部総合政策課・環境部環境エネルギー課企画幹、自然エネルギー財団特任研究員等を経て、現在に至る。著書に『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない』『信州はエネルギーシフトする』、共著に『国民のためのエネルギー原論』『再生可能エネルギー開発・運用にかかわる法規と実務ハンドブック』などがある。

田中信一郎の記事

もっと見る