メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

40年ぶりに聞いた渡辺香津美の『Inner Wind』

[203]東京都写真美術館、終戦記念日、東京芸術劇場、赤木雅子さんの意見陳述……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

8月12日(水) 「調査情報」の最終校正を済ませて、16時から那覇在住の畏友Hさんと会う。『遅すぎた聖断~検証・沖縄戦への道~』(RBC琉球放送)の件で。

 その後、18時から国会前で、元山仁士郎くんらの呼びかけによる香港民主化運動への国家安全維持法違反容疑での摘発に抗議する集会に顔を出す。最初はあまり人がいなかったが徐々に人が集まってきた。日下部正樹キャスターがカメラとともに取材に来ていたので、あんまり邪魔になるといけないので別の場所に転戦した。

 インターネットでChoose Life Projectを見ていたら、代表の佐治君が仕切って番組を進行していた。彼は本当に頑張っている。

8月13日(木) 朝、プールへ行きがっつりと泳ぐ。なぜかと言うと、通っているスポーツクラブが年に一度のお盆休み大掃除で、プールの水も総入れ替えで真新しいプールで泳げるというわけなのだ。実際にプールに入ってみると、プールの水がひんやりしていて、さらさらしていて、気持ちがいいのだ。こんな気持ちがいいプールは本当に年に1回経験できるかどうか。それでついつい泳ぎまくってしまったのだった。がっつりと泳いだ後にサウナに入って汗を流したらベストコンディションという気持ちになった。

 局で、近畿財務局職員自殺事件関連の情報整理。これは本当に知れば知るほど酷いことが行われていたのだと実感する。証拠が物語っている。

東京都写真美術館。久しぶりだ。お目当ては「あしたのひかりTwilight Daylight」東京都写真美術館「あしたのひかり Twilight Daylight」。上の写真は岩根愛《Tenshochi, Kitakami, Iwate》〈あたらしい川〉
 16時から東京都写真美術館。久しぶりだ。お目当ては「あしたのひかり Twilight Daylight」の岩根愛さんの写真をみることだった。期待にたがわずすばらしい展示だった。写真を撮るという写真家の行為と被写体・被写共同体との関係が、これほど突き詰められた緊張感と愛を感じさせられたことはあまりない。東日本大震災の被災地・福島、その福島からの移民という歴史の先にあるハワイの日系人共同体、そして今現在の福島。その3者をつなぐ行為としての写真撮影。先達たちの優れたジャーナリズムの仕事にも通じる。あと、どこのテレビ局の報道部員なのかは知らないけれど、菱田雄介という写真家の展示もよかった。

 同じ写真美術館で開催されていた「森山大道の東京 ongoing」にも足を延ばす。さすがというか、現役で今もパンデミック下の新宿を歩き回っている姿に敬服する。

 夜、Choose Life Projectの佐治くんらと久しぶりに会って話をする。

いかにも本当のようなプールの話

8月14日(金) きのうの快感が忘れられず、朝、プールへ。まだ快適だった。いつもの半分くらいでやめておく。スポーツクラブの長老のような人がロッカールームで話しかけてきた。「まあ、3日間ですねえ、あたしゃあ、ずっと見てきましたから。あれね、プールの水を全部とっかえると100万以上のカネがかかるんですってね。だから経営者が嫌がるんですよ」。いかにも本当のような話だったが、今日のプールはまだ快適だった。

 北海道寿都町の核のゴミ最終処理施設話。これはとても大きな問題だ。いずれきちんと取材しなければ。

8月15日(土) 「報道特集」のオンエア。全編通して「戦争と疫病」をテーマとした企画だった。残念ながら、僕は今年の終戦企画には積極的に嚙むことができず、導入部分の刺身のツマ的な扱いだった。「戦争と疫病」という本質的なテーマについての思考が本格的に深められておらず、それぞれが自分のストーリーをそつなくつなぐというだけでは物足りなさが残る。こころざしや良し、仕事ぶりは並み。

 日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式もコロナ禍の影響で異例のものとなった。君が代斉唱もなし。天皇皇后もマスクをしたままのお言葉だった。

全国戦没者追悼式で黙祷(もくとう)する天皇、皇后両陛下=2020年8月15日正午、東京都千代田区の日本武道館全国戦没者追悼式で黙祷する天皇、皇后両陛下=2020年8月15日正午、日本武道館

先人たちの戦争にまつわる言葉が心に届いた

8月16日(日) 朝、「サンデーモーニング」をみていたら「風をよむ」のコーナーで終戦記念日にちなんで、先人たち(全員がすでに亡くなられた著名人たち)のことばを特集して伝えていた。野中広務、後藤田正晴、日野原重明、中村哲、筑紫哲也といった先人たちの戦争にまつわる言葉が紹介されていた。

 この中で、作家の野坂昭如の言葉が強烈に心に響いてきた。

・・・ログインして読む
(残り:約2383文字/本文:約4209文字)