メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

「やみくもな消費減税」より「持続可能な財政措置」を~階猛

古賀茂明×野党若手政治家(4)

古賀茂明 元経産官僚

 野党合流新党の代表選は、立憲民主党の枝野幸男代表(56)に、国民民主党の泉健太政調会長(46)が挑む構図が予想されています。枝野氏が小沢一郎・元民主党代表や野田佳彦・元首相ら重鎮の支持を受けて圧勝するとの見方が大勢で、注目度はいまひとつです。
 しかも、枝野氏と泉氏の一騎打ちでは、両党がもめにもめた合流協議の延長線上の対決構図となります。そのうえ数に勝る立憲民主党側が勝てば「出来レース」と受け止められ、白けムードが漂いかねません。
 そこで期待されているのが、立憲でも国民でもない無所属議員の出馬です。三つ巴の構図になれば、「立憲vs国民」の印象を薄めることができるからです。
 野党の新世代の政治家に奮起を促す古賀茂明さんのインタビューシリーズ。今回は無所属議員のなかで人望の厚い実力派の階猛衆院議員の登場です。(論座編集部)
階猛(しな・たけし)

衆議院議員(岩手1区)、共同会派 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム 所属。
盛岡一高野球部、東大野球部で投手。勤務先の長銀が経営破たん後、企業内弁護士として活動。2007年補欠選挙で初当選、以降小選挙区で5期連続当選。総務大臣政務官、民進党政調会長、国民民主党憲法調査会長などを歴任。現在、衆議院法務委員会野党筆頭理事、財務金融委員会委員、憲法審査会委員、東日本大震災復興特別委員会委員。
 

《動画のワンポイント解説》

 階猛さんは、激動する野党を体現してきた政治家でしょう。

 自らを政治の道へ導いた小沢一郎さんを支えてきましたが、民主党政権で繰り広げられた党内闘争を機に決別しました。次に民主党若手ホープだった細野豪志さんを側近として支えましたが、野党再編のなかで袂を分かちました。

 階さんが小沢さんの合流に反対して国民民主党を離党した経緯を論座に寄稿した『なぜ私は、国民民主党を離党したのか』は、非常に読み応えがあります。今回の合流新党への参加を拒んだ国民民主党の玉木雄一郎代表に翻意を促す『なぜ君は合流新党に参加できないのか』とあわせて読むと、階さんという政治家の実直さが浮かんできます。

 その階さんが合流新党で重視するのは、歴代最長となった安倍政権のアンチテーゼを示すことです。安倍政権は①権力が暴走し②国民に自己責任を強い③個人よりも国家を優先しました。これに対し、合流新党は①立憲主義と熟議を重んじる②国や社会が個人の命と暮らしを守る②国家より国民が主役――という社会像を綱領で明確に掲げます。

 階さんは「与党と対峙して何をやるかが大事だ。批判だけでなく提案し、実行力あるところをみせていかなければならない」と言います。

 そこで焦点となるのが、消費税の扱いです。

 階さんは「経済状況からして国民の負担を軽減するのは大事だが、将来に向けて国民の生活と暮らしを守るには持続可能性のある財政措置を考えなければならない」と強調。「消費税はやみくもに減税するのではなく、より生活の厳しい人に恩恵が及ぶやり方、かつ、将来的に減税で損なわれた財源を余裕のある方から広くいただくということも打ち出すべきだ」と述べ、官僚主導の今の政権では打ち出せない政策を温めていると語りました。

 こうした経済政策が立憲民主党でも国民民主党でもない「第三極」から代表選で提起され、新党の中核政策となっていくのか。新党全体の活性化をめざす無所属議員たちの動きに注目です。(論座編集部)