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末期にまた露呈した安倍政権の拙劣 「イージス・アショア」配備停止検証

次期政権に「敵基地攻撃」で継がれかねない危うさ

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

拡大イージス・アショアの配備停止について防衛省が検証し、9月4日に発表した報告書

 歴代最長政権の末期に、失態がまた一つ露呈した。

 防衛省は9月4日、陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム、「イージス・アショア」の配備停止をめぐる検証結果を発表した。国民へのリスクにどう対応するかをめぐる、拙劣で拙速としか言いようがないその顚末(てんまつ)に、前のめりな安全保障政策の危うさが現れている。

 それは安倍晋三首相の次の政権にも引き継がれかねない。どういうことか? 詳しく述べたい。

検証結果発表に至る経緯

 まず、今回の検証結果発表に至る経緯からだ。

 安倍内閣がイージス・アショアの配備停止を唐突に決めたのは6月中旬だ。配備候補地とした山口県と秋田県の2カ所で、防衛省は迎撃ミサイルのブースター(推進装置)を切り離し後に住民に危険のない場所に落とすと説明していたが、その実現には「相当のコストと期間」がかかるという問題が判明したため、という理由からだった。

拡大防衛省がイージス・アショアの配備候補地とした2カ所=朝日新聞社

 だが、安倍内閣が陸上でのアショア配備を決めたのは2年8カ月も前のことだ。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射がピークだった2017年の末に閣議決定。ミサイル防衛を担う海上自衛隊のイージス護衛艦を中国の海洋進出などへの対応に回す必要から進めてきた。配備停止が寝耳に水だった自民党からも歴代防衛相を中心に検証を求める声が上がり、今回の発表となった。

 明らかになった経緯で特に深刻なのは、ブースター問題を河野太郎防衛相が6月初めに知って配備停止へ舵を切るまでに、「悪い話」(河野防衛相)を約5カ月も抱え込んだ防衛省の事務方の振る舞いだ。

 防衛省でアショア導入に向け、米国や地元との調整を進めていたのは「イージス・アショア整備推進本部」。山本朋広防衛副大臣をトップに2019年に設置された。秋田県での配備候補地調査でずさんな測量があったり、住民説明会で防衛省の事務方が居眠りしたりと不祥事が相次いだため、態勢を強化したとした。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)

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