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末期にまた露呈した安倍政権の拙劣 「イージス・アショア」配備停止検証

次期政権に「敵基地攻撃」で継がれかねない危うさ

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

防衛次官で止まった情報

 ところが、今回の防衛省の検証結果や担当者の補足説明によると、今年初め、防衛省と米ミサイル防衛庁の事務レベル協議を通じてブースター問題への「懸念」が生じた際、その話は防衛省事務方トップの高橋憲一事務次官(当時。写真右端)までしか上がらなかった。

拡大2018年の年初にだるまに右目を入れた際の「一致団結」「任務完遂」の誓いが成就したとして、年末に順に筆をとって左目を入れた当時の防衛省の高橋憲一事務次官(だるまの右)、岩屋毅防衛相(だるまの左)ら=2018年12月、防衛省。藤田撮影

 防衛省の事務方はそのまま米側と協議を続け、5月下旬になって、ブースター問題への対応には「(アショア)システム全体の大幅な改修が必要と判明し、相当のコストと期間をかけて改修するのは合理的でないと判断」。「安全対策として地元に約束していたブースターの落下は実現できない」と結論を出した。

 6月初めになって、高橋次官が河野防衛相に伝え、推進本部長の山本副大臣に伝わったのはその後だったという。

 この段階で河野防衛相は、「地元への約束」を反故(ほご)にしてアショア導入を進めるか、アショアの配備自体を停止するかの選択を迫られた。安倍首相や菅義偉官房長官に説明した上で、選んだのは後者だった。

 9月4日に記者団に検証結果を説明した防衛省の事務方の幹部は、今年初めの段階でブースター問題への「懸念」を推進本部で高橋次官らと共有したひとりだった。その時点で河野防衛相に伝えなかった理由を、「極めて技術的な性格が強く、ちゃんと確認しないといけないということだった」と振り返った。

拡大防衛省が2019年12月、イージス・アショアの配置候補地の山口県に対し、ブースターの落下について説明した資料

 ただ、河野防衛相はこの日の記者会見で「悪い話をきちんと早く上げられる風通しの良い組織にしなければならない。総理からもお叱りをいただいたが、そこが徹底できなかった私の責任を痛切に感じている」と強調。「次官以下の幹部職員に訓告したい」と語った。

形だけの副大臣トップ

 今回のブースター問題の河野防衛相への報告の遅れについては、評価が分かれるかもしれない。仮に河野防衛相が「懸念」の段階で伝えられていたとしても、事務方から「極めて技術的」な問題なので判断を待ってほしいと言われれば、アショア配備停止や代替案の検討を早められたとは限らないからだ。

 それでも

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)

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