大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント
1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
選挙戦略の面から考えた四つのポイント
政局の秋です。永田町では安倍晋三総裁の退陣表明を受け、自民党の総裁選が進行中。一方、野党の側は、立憲民主と国民民主などの合流新党、さらに玉木雄一郎代表の新党設立と話題が尽きません。10日は合流新党の代表に枝野幸男さんが選ばれ、党名は立憲民主党に決まりました。
ただ、政権再編を経て、これから1年の間に必ず行われる衆議院の解散・総選挙で、野党が「政権交代」を実現できるのかというと、否定的な意見が多いようにみえます。平成の時代に二度起きた政権交代は、令和では起きないのか。そもそも野党が政権交代を実現するためには何が必要か、裏を返せば、政権交代のために現在足りていないことは何なのか――。
政策が重要であることは言わずもがなですが、今回は政策にはあえて触れず、筆者が専門にしている選挙戦略という観点から、四つのポイントに絞って考えてみたいと思います。
1999年以降、政権交代を狙う野党・民主党は、「ネクストキャビネット」(次の内閣)をつくって政権担当への意欲を示してきました。
イギリス議会における与野党の政策論争のための制度の一つであった「シャドーキャビネット」(影の内閣)と違い、日本のネクストキャビネットはそこまで注目されていませんでしたが、それでも政権選択選挙のためにはなくてはならない存在だったと筆者は思っています。
残念ながら、民進党(民主党の後身)の分裂もあって、民進党時代の2017年につくられて以来、ネクストキャビネットは現在にいたるまで存在しません。筆者は政権交代を狙うなら、まずはこのネクストキャビネットを復活させるべきだと思います。なぜ、そう思うのか。