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大坂なおみ選手も抗議 アメリカの黒人差別問題はなくせるのか?

米国の黒人差別問題を考える(上) 「第二フェーズ」に入った黒人差別撤廃運動の行方

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

多数のマイノリティーを抱えるアメリカの基本的問題

 黒人差別と言うと、奴隷時代から続く歴史に答えを求めようとする人が多いが、ここでは現在の差別をみていく。

 フロイド事件を捕らえたビデオによると、ことは偽札を使ってタバコを買ったフロイド氏からタバコを取り返そうとしたヒスパニックと黒人の少年が通報したことから始まった。少年が泥酔していると報告したのも、麻薬によるものだった。日本のメディアには、彼が偽札と知らずに使ったとの憶測も出ているが、それは間違いだ。

 とはいえ、彼を捕らえるために5人の警官が駆け付け、最初の警官がフロイド氏を運転席から降ろす段階で既に銃を手に持っていたこと、殺人者となった警官には過去にも発砲で相手を死なせた経歴があることなど、初動から問題があったのは明らかだ。彼の友人と思われる同乗者の黒人も、まったく無抵抗に見える。

拡大ジョージ・フロイドさんが亡くなった現場で、祈りを捧げる人たち=2020年6月19日、米ミネアポリス、渡辺丘撮影

 人種別の統計で米国の黒人の犯罪率が高いのは事実だ。その結果として「黒人は怖い」、「犯罪者予備軍」とのレッテルが張られている。また、比較的ラフな格好をする人が多いうえ、荒れた言葉遣いをする人が少なくないのも事実だ(この件については「中」で述べる)。なお、黒人が警官に撃たれて死ぬ割合(黒人の人口対比)も高いが、これも黒人が差別されて撃たれ易いとの不満とともに、黒人には凶暴犯が多いからだとする見方もある。

 7月29日の論座「差別場面の動画が続々の米国 『カレン現象』が示す『白人特権』の理不尽」には、黒人男性から、ニューヨーク市(NY)の公園で連れていた犬にNYのルールである首輪を付けるよう注意された白人女性が「アフリカ系米国男性に脅されている」と電話したとして会社を解雇されたという事件が書かれている。

 なぜ、このような事件が起きたのか。彼女の心の中に差別が巣食っていたからに他ならない。

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筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

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