メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

自前の保健所を持たない市長の叫び~東京都多摩市のコロナ対策

阿部裕行 多摩市長

 1月28日に政府が新型コロナウイルス感染症を感染症法に基づく指定感染症として定める政令を公布してから早8か月。

 100年前のスペイン風邪以来の世界的なパンデミックの中、世の中の光景は一変しました。マスクの着用、「三密」の回避、テレワークやオンライン授業への転換。

 しかし、市町村の日々はある意味では変わりません。住民に最も身近な地方政府として、地域住民の安心と安全確保のため、懸命に闘う日々が続いているのです。

 本稿は、国内で最も感染者数の多い東京都の中にあって、自前の保健所を持たない多摩市の首長の叫びです。

9月からスタートした東京都の市町村向け感染者情報の提供

 東京都は9月8日、市町村に対し、新型コロナウイルス感染症感染者情報の提供に踏み切りました。週に1回、新規感染者の個々の年代、性別と、入院・自宅待機などの療養状況別の人数を市町村に通知するというものです。

 他の道府県の皆さんからすると、「エッ?」と思われるかもしれません。

 実は、東京都では、23区にそれぞれ区立の保健所、八王子、町田両市には市立の保健所が設置されており、これら保健所を設置している各市区では内容の差こそあれHP等で感染者情報を公開していますが、それ以外の市町村がお知らせできるのは東京都が公表する市町村別感染者数のみの状態が9月8日まで続いていたのです。

 もちろん、東京は感染者数も多く、PCR検査、感染経路の把握など保健所機能がパンク状態の中、都も対応に苦慮してきたことは私も理解しています。しかし、保健所設置自治体かそうでないかの違いが情報格差を生んで来たことも事実です。

 この間、首長である私自身も連日開かれる都知事の記者会見で、その日の感染者数を知り、対策を立てざるを得ないという状態がずっと続いてきました。

 東京には約1400万人もの都民が居住していますが、地域によって感染状況は大きく異なっています。多摩市に対してなぜもっと情報を出さないのかと、市民から疑問が寄せられることも、当然の状況でした。

拡大

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

阿部裕行

阿部裕行(あべ・ひろゆき) 多摩市長

1956年東京都生まれ。日大法学部卒。1979年日本新聞協会入職。広告、技術、編集、メディア開発などを担当。2009年日本新聞協会事務局次長兼経営業務部長。2010年4月多摩市長に就任(現在3期目)。「健幸まちづくり」を総合計画の基盤に据え、誰もが幸せを実感できるまちづくりを推進。多摩市の人口は14万8千人。市域の6割は多摩ニュータウン。京王線、小田急線、多摩モノレールが乗り入れ。公園面積は都内随一。健康寿命は都内トップ。2020年7月には都内初の「気候非常事態宣言」を議決。「平和」、「人権」、「環境」を基軸にシビックプライド溢れる市民主権のまちづくりを進めている。