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新政権に望む~「権力維持の罠」にかかった政治から脱却を!

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

 筆者は今日の日本のありように深刻な懸念を持つ。それは日本が繁栄した国であり続けるために進めなければいけない施策を先送りしてきたことへの懸念だ。新政権が発足するこの時をとらえて、率直な想いを述べたい。

拡大カメラマンの求めに応じて拳を突き出す自民党の菅義偉新総裁=2020年9月14日、東京・永田町

深刻な日本の危機

 まず、日本が置かれている危機の大きさについて明確に認識してもらいたい。

 コロナ以前にも少子高齢化、労働力減少、膨大な公的債務の累積、潜在的成長力の低さ、地方の停滞、教育国際化の遅れといった基本問題に十分な解をもたらすことが出来なかった。むしろ、これら課題に正面から向き合ってもこなかった。その間、生産性や国民所得水準、ひいては「国民の幸福度」といった多様な国際比較統計でも日本は先進国の低位に甘んじる結果となっている。

 また、コロナ危機は日本の医療体制の不十分さ、医療・教育などあらゆる面でのIT活用の遅れを白日の下にさらけ出した。東日本大震災や累次の天然災害、コロナパンデミックなど緊急の手当てを擁する事象が多かったことは事実だし、膨大な財政資金が災害からの復興のために使われたことも事実である。然しながら、本来であれば短期的な施策とあわせ深刻な国家の基本課題を改善すべく中長期的な戦略投資を行っておく必要があったのにもかかわらず、累次の自民党政権、民主党政権はそれを怠った。

 アベノミクスも超低金利政策と財政政策により株価を上げ、輸出企業をはじめ大企業の収益を増やしたことは間違いがない。しかし、結果として資金は民間の手に有り余るに留まり、一方で日本の基本問題解決のために具体的な行動はとられたわけでもなかった。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月10日刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。

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