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新「立憲民主党」結党 政局本位から脱却しポストコロナの新しいモードへ 

神津里季生・山口二郎の往復書簡(9)政局モードの思考パターンはもういらない

神津里季生 連合会長

拡大結党大会で、あいさつする立憲民主党の枝野幸男代表=2020年9月15日午後2時24分、東京都港区、長島一浩撮影

往復書簡・コロナ危機と政治 神津里季生・山口二郎

 前回山口先生から書簡をいただいたのは7月の17日、それからほぼ2カ月が過ぎてしまいました。2週間に1回程度とご提案させていただいた当の本人が、まるで長い夏休みに入ってしまったかのようなここまでの停滞については、率直におわび申し上げるしかありません。さらに言えば、そうなってしまったことの背景には、私自身の、政治の世界に対する認識の甘さがあったと、不明を恥じる他ありません。

 合流新党の立憲民主党の結党大会が9月15日、開かれました。この合流新党について先生は、「なんでも反対」と世に解釈されるような野党ではなく、しっかりと与党に拮抗する「対抗勢力」の成立としての期待感を持っておられました。その一方で、それがすんなりといくような生易しいものではないことも予見をされていました。

「背徳者」はどこにでもいる?

 前回の先生の書簡「『日本沈没』寸前! 新たな『社会契約』で日本の再構築が必要だ」のなかにこういうくだりがあります。再掲させていただきます。

 対抗勢力の結集の話し合いのなかで、自分の地位を守るために変革に背を向ける政治家が現れるなら、そのような人物は社会全体の生存よりも、自分の地位や利権を優先させる背徳者という非難を浴びなければなりません。
 あえて自民党に対抗するという苦難の道を今まで歩んできた政治家なら、どのような行動をとるべきか、わかっていると期待したいところです。それは、政治家を応援する労働組合も同様です。

 先生の直截な表現に対して私はあのとき、ちょっときついのではないでしょうかという意味のことをメールで申し上げました。今振り返ってみて、穴があったら入りたい思いです。

 そのときの私の心配は、仮にこの部分が特定の人物を想定した表現ではないとしても、読み手にそのような誤解を生じさせてしまうのではないかというものでした。もちろん今も、この表現が直接Aさん、Bさんを指したものではないと私は解釈します。

 ただ、どこにいっても、どの党においても、このような「背徳者」はいるのだというのが、この間の様々な状況を直接間接にみてきたうえでの私の実感です。政治家であれば皆一家言を持ち、思想信条にこだわりを持っているのは当然ですが、そのような純粋な側面だけではどうしても解釈しきれないことがあちこちに見受けられるのです。

 「お盆の前には」と言われていた立憲民主、国民民主の両党の合流は、紆余曲折を伴いながらも、ようやく日の目を見ることとなりました。正直言って、心身をすり減らす日々でした。


筆者

神津里季生

神津里季生(こうづ・りきお) 連合会長

1956年東京都生まれ。東京大学教養学部卒。在学時は野球部マネジャー。79年、新日本製鐵に入社。84年に本社労働組合執行委員となり、専従役員の活動を始める。外務省と民間の人事交流で90年より3年間、在タイ日本大使館に勤務。その後、新日鐡労連会長、基幹労連中央執行委員長などを経て、2013年に連合会事務局長に就任、15年より同会長。近著に「神津式労働問題のレッスン」。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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