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菅政権は日米地位協定を改悪した安倍政権の手法も継承するのか?

日米地位協定を政局の道具として使った安倍政権。菅政権はどうか……

山本章子 琉球大学准教授

知事選に向けて合意を急いだ環境補足協定

 2006年11月、沖縄知事選に当選した仲井眞弘多は、1996年に返還が合意された米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設を容認する立場だった。しかし、2010年の知事選では、民主党政権が普天間飛行場の県外移設を検討しながらも断念したことへの県内世論の反発を背景に、仲井眞知事は普天間県外移設を公約に掲げて再選する。

 ところが仲井眞知事は2013年12月末、前年末に民主党から政権を奪還した安倍首相と会談。①毎年3000億円台の振興予算、②普天間飛行場の5年以内の運用停止、③米海兵隊の輸送機MV-22(オスプレイ)24機の約半数の訓練の県外移転、④日米地位協定の補足協定の締結――などを条件に、政府が普天間飛行場の移設先としている辺野古沿岸部の埋め立てを承認する。

 安倍首相と菅官房長官は、仲井眞知事の3選がかかった2014年11月の知事選に合わせて、日米地位協定を補完する「環境補足協定」の締結について、バラク・オバマ政権との合意を急いだ。しかし、この知事選では、辺野古移設阻止を掲げた那覇市長の翁長雄志が、約10万票差で仲井眞を破った。

拡大落選を伝えるテレビ報道を見る仲井真弘多氏(中央)=2014年11月16日、那覇市

 2014年10月に合意、翌15年9月末に成立した環境補足協定は、両国の情報共有(第2条)、環境基準の発出と維持(第3条)、環境事故や基地返還決定の後の調査のための基地立入手続き(第4条)、一方の要請による日米協議開始(第5条)を定めている。

 岸田文雄外相は、環境補足協定の成立当時、「日米地位協定そのものに環境に関する条項がなかったため、別途、環境補足協定」を締結し、第4条の立入手続きによって「現地調査を実効的に行うことができるようになる」と説明した。

自治体による基地の環境調査を制限

 ところが、環境補足協定の成立は、かえって自治体による基地の環境調査を従来よりも制限する結果となった。第4条で規定された、日本政府・自治体による米軍基地内立ち入りが、二つの場合に限られたためだ。

 一つは、米国から日本に環境事故の報告があった場合。もう一つは、

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筆者

山本章子

山本章子(やまもと・あきこ) 琉球大学准教授

1979年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。2020年4月から現職。著書に『米国と日米安保条約改定ー沖縄・基地・同盟』(吉田書店、2017年)、『米国アウトサイダー大統領ー世界を揺さぶる「異端」の政治家たち』(朝日選書、2017年)、『日米地位協定ー在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書、2019年)など。

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