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沖縄の翁⻑前知事が菅新政権の喉元に残した「楔」

菅⽒と翁⻑⽒の間にあった決定的な歴史認識の齟齬

阿部 藹 琉球大学客員研究員

 5年前の2015年9月21日(現地時間)、翁長雄志沖縄県知事(当時)はスイス・ジュネーブでの国連人権理事会で歴史とも言える口頭声明を発表した。翁長知事は「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています」と主張し、日本政府に対し沖縄の人々の人権を尊重するよう求め、その民主主義の在り方を問うたのだ。

 国際法上「自己決定権」は重い言葉だ。特に人権理事会において自国の政府によってその権利がないがしろにされていると主張することは、国家としての統合性に楔を打ち込むようなものである。

 2年前に志半ばで病に斃れた翁長知事はその重い楔をどうして手に持ち、打ち込んだのか。いや、「打ち込まざるを得なかった」のか。

 その背景には、当時官房長官だった菅義偉新総理大臣との間で明らかになった決定的な歴史認識の齟齬があったと考えられる。

拡大国連人権理事会で発言する沖縄県の翁長雄志知事=2015年9月22(日本時間)、スイス・ジュネーブの国連欧州本部


筆者

阿部 藹

阿部 藹(あべ あい) 琉球大学客員研究員

1978年生まれ。京都大学法学部卒業。2002年NHK入局。ディレクターとして大分放送局や国際放送局で番組制作を行う。夫の転勤を機に2013年にNHKを退局し、沖縄に転居。島ぐるみ会議国連部会のメンバーとして、2015年の翁長前知事の国連人権理事会での口頭声明の実現に尽力する。2017年渡英。エセックス大学大学院にて国際人権法学修士課程を修了。琉球大学客員研究員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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