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トランプ大集会、緊迫ルポ/コロナ禍でもマスク着用を無視、支持者密集で大歓声

園田耕司 朝日新聞ワシントン特派員

連日死者1千人の緊迫感

 トランプ氏の選挙集会でマスク着用やソーシャル・ディスタンシングなどが守られていないことが、社会問題化してしまうほどの米国内の緊迫感は、もしかしたらわかりづらいかもしれない。

 米国では新型コロナの感染者数660万人超、死者数は20万人近くと世界最悪の記録を更新し続けている。一時期のピークを越えたとはいえ、今でも連日1千人近くが死亡している。

 多くの州ではマスク着用が公共の場所で義務づけられているうえ、会社での勤務や学校での授業も制限されている。私もワシントンDCにある会社のオフィスに通うことはできず、自宅での仕事を余儀なくされているうえ、小学1年生の息子も3月からずっと自宅でオンライン授業だ。

 コロナの感染予防は、喫緊の課題だという緊張感が、一般の市民の日常生活にはあるのだ。

開催地で感染者数急増のケースも

 トランプ氏の大規模選挙集会に対しては、公衆衛生の専門家からも批判の声があがっている。

 6月20日、オクラホマ州タルサでは、新型コロナ米国内で感染拡大したのちに初めて大規模集会が開催された。そのタルサでは集会開催後の約2週間後、感染者数が3倍以上に急増した。地元保健当局は「トランプ氏の集会が関係している可能性が高い」という見方を示している。

 この集会の参加者からは死者もでている。

 2012年米大統領選で共和党指名候補争いに参加した元ピザチェーン経営者ハーマン・ケイン氏はタルサでの選挙集会に参加し、同29日に新型コロナの陽性反応が出て、7月1日に入院。同30日に死去が明らかになった。ケイン氏がどこで新型コロナに感染したかは不明だ。しかし、最後に公に姿を見せたのは、タルサでの選挙集会であり、その当時、マスクを着用していなかった。

 トランプ氏は11月の大統領選まで大規模集会の開催を続ける意向だが、開催地の地元から反発もでている。

拡大飛行機の格納庫で行われた選挙集会で演説するトランプ大統領=ミシガン州フリーランド、ランハム裕子撮影、2020年9月10日

 ミシガン州のホイットマー知事(民主党)は今回のトランプ氏の集会開催前、「トランプ大統領は、参加者が他人との距離を取らず、マスクを着用していない集会を全米各地で行っている」と述べ、開催に強い懸念を示していた。

 先週末にネバダ州の空港格納庫で予定されていた大規模選挙集会をめぐっては、地元空港当局が「州の50人以上の集会を禁じたガイドラインに違反する」と警告。トランプ陣営は、会場の変更を迫られた。

 トランプ氏の選挙集会に対する批判に対し、支持者たちからは人種差別への抗議デモでも不特定多数の参加者が集っている、という反論がある。しかし、「トランプ支持者と比べ、デモ参加者は感染リスクを下げようとしている点が違う」という公衆衛生の専門家の指摘がある。

 確かに私も過去、何度もデモ集会を取材した経験があるが、参加者のほとんどがマスクを着用している。マスクを着用していない人たち同士が大声で顔を寄せ合って話し合っているトランプ氏の選挙集会を見ると、トランプ氏の選挙集会の方がコロナの感染リスクは高いと感じざるをえない。

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筆者

園田耕司

園田耕司(そのだ・こうじ) 朝日新聞ワシントン特派員

1976年、宮崎県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒、朝日新聞入社。福井、長野総局、西部本社報道センターを経て、2007年、政治部。総理番、平河ク・大島理森国対委員長番、与党ク・輿石東参院会長番、防衛省、外務省を担当。2015年、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員。2016年、政治部国会キャップとして日本の新聞メディアとして初めて「ファクトチェック」を導入。2018年、アメリカ総局。共著に「安倍政権の裏の顔『攻防 集団的自衛権』ドキュメント」(講談社)、「この国を揺るがす男 安倍晋三とは何者か」(筑摩書房)。メールアドレスはsonoda-k1@asahi.com

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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