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菅新政権発足を機に安倍政権の外交・安保政策を再点検する

外交・安保政策の何が変わり、何が変わらなかったのか。

加藤博章 関西学院大学国際学部兼任講師

FOIP(自由で開かれたインド太平洋構想)を推進

 安倍政権で変わった点としては、FOIP(自由で開かれたインド太平洋構想)も挙げられる。FOIPとは2016年8月27日、ケニアのナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)の基調演説において、安倍総理が打ち出したもの。ルールに基づく国際秩序の確保を通じて、自由で開かれたインド太平洋地域を「国際公共財」として発展させるという考え方である。

 安倍総理は2012年の就任当初からインド太平洋地域の重要性を指摘、法の支配、航行の自由などの国際秩序維持を打ち出していたが、中国の動きが活発化するなか、FOIPは中国が打ち出す「一路一帯」などの戦略への対抗軸ともなった。今では、米国などの主要国もFOIPに賛同し、積極的に後押ししている。

 日本政府も、インド太平洋地域諸国に対してインフラ整備やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)などの経済パートナシップの強化、巡視船の供与や人材育成を通じ、各国の海洋警察能力の構築を後押ししている。外交・安全保障だけでなく、経済にも跨(またが)る概念を打ち出し、それを進めたのは安倍政権の成果と言えよう。

安倍政権でも変わらなかった憲法をめぐる構図

 こうした変化があった一方で、変わっていない点も存在する。最も大きいのは外交・安全保障政策の根幹部分であろう。確かに安倍政権において、集団的自衛権の解釈変更や平和安全法制は実現した。しかし、それでも外交・安保政策の根幹部分は変わっていない。

 そう書くと、憲法を想起する人がいるだろう。日本政府は、日本国憲法の制定以来、解釈変更によって、外交・安保政策を進めてきた。裏を返せば、憲法に手をつけることなく、外交・安保政策を時代に合わせて推し進めてきたのである。

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筆者

加藤博章

加藤博章(かとう・ひろあき) 関西学院大学国際学部兼任講師

1983(昭和58)年東京都生まれ。専門は国際関係論、特に外交・安全保障、日本外交史。名古屋大学大学院環境学研究科社会環境学専攻環境法政論講座単位取得満期退学後博士号取得(法学博士)。防衛大学校総合安全保障研究科特別研究員、独立行政法人国立公文書館アジア歴史資料センター調査員、独立行政法人日本学術振興会特別研究員、ロンドン大学キングスカレッジ戦争研究学部客員研究員、東京福祉大学留学生教育センター特任講師を経て、現在一般社団法人日本戦略研究フォーラム主任研究員、防衛大学校人文社会科学群人間文化学科兼任講師、関西学院大学国際学部兼任講師。  主要共編著書に『あらためて学ぶ 日本と世界の現在地』(千倉書房)、『元国連事務次長 法眼健作回顧録』(吉田書店)、「非軍事手段による人的支援の模索と戦後日本外交――国際緊急援助隊を中心に」『戦後70年を越えて ドイツの選択・日本の関与』(一藝社)、主要論文に「自衛隊海外派遣と人的貢献策の模索―ペルシャ湾掃海艇派遣を中心に」(『戦略研究』)、「ナショナリズムと自衛隊―一九八七年・九一年の掃海艇派遣問題を中心に」(『国際政治』)。その他の業績については、https://researchmap.jp/hiroaki5871/を参照。

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