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母に傾倒していた私

 振り返ると、私が人前でも踊ったり、泳ぐのが好きなこと、この二つは完全に親の「仕込み」がきっかけである。いや、学歴も親の仕込みだと言っても過言ではない。母が私に対して「このようにあれ」と願った事は、学力もそうだが、いろいろな素養を身に着けさせることであった。

 母はよく私にこう言った。

 「お母ちゃんな、若かりし頃、自分が人前に出て臆することなく格好良く踊れたらと幾度となく思ったことか。――お母ちゃん、平泳ぎは出来るんやけどクロールができひんねん。泳げたら格好良いやろうな~。――勉強も頑張った。服も無ければ自分で作ったから間に合った。でも、踊りと泳ぎだけは、お金も時間もなかったな……」

 私は三歳からバレエと水泳を習ったが、それは多分、母のこのような言葉と連結せざるを得ない。母には、自分の人生が変わっていただろうくらいの憧れと確信があったのだろうと思う。結果、私は踊ることも泳ぐことも好きだ。

 また、母はヨット(セーリング)もやらせた。機会を見つけては乗馬もやらせてくれた。このような仕込み(経験)から得た素養は、20~30代の頃、偶然出くわす場面で大いに役に立った。

 自分にとって良かった経験は、子どもにも引き継がせたいと思うし、子どもに音楽やテコンドーを習わせているのも、すでに母からの連鎖が始まっていると言える。

 しかし、私の思う良いコト、その全てを子どもが受け入れるかどうかは別問題であった。完全に異なる人格だということを毎日のように子どもから突きつけられている。

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筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、日本語講師

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

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