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安倍政権があっけなく終わることに

[205]映画『赤い闇』、安倍首相の辞任会見、発熱、入院……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

8月26日(水) 朝、プールへ行き泳ぐ。雑念とストレスを洗い流せ。「毎日新聞」のコラム原稿。河井議員夫妻の刑事事件初公判をめぐって書く。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領の独裁政治に批判が集まるなか、同国のノーベル文学賞作家スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ女史に対して、捜査当局が出頭要請を出したとの共同電。反政府派へのまるで日本の特高警察のようなやり口でじわじわと圧力をかけている。

 モーリシャス、ベラルーシ、レバノン、タイ、香港、そしてアメリカ合衆国と、民衆=peopleの姿が出現している。それに比して日本のこの静けさは何だろうか。そう言えば、アレクシェーヴィチ女史が2016年に来日した際に確かに言っていた。「日本には抵抗の文化がない」と。

8月27日(木) 今朝もプールへ行き泳ぐ。とにかく泳ぐのだ。ストレス太り気味。

 テニスの大坂なおみが相次ぐ黒人銃撃死傷事件に抗議して参加中のテニス試合を棄権する意思表示をしたという。「私はアスリートである前に一人の黒人女性です」とツイートした。これはすごいことだと思う。人間の尊厳をまもるという意志から出た根源的な行為だ。アメリカの外に住む私たちは、この行為をどう受け止めたらいいのか。

 夕方、新宿で、評判の映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』をみる。かつて僕もソ連末期にモスクワ特派員としてかの国に赴任した。もう30年近くも前の大昔のことだ。社会主義ソ連の取材はいろいろと不自由も多かったが、僕がいた頃はソ連が滅びる時期だったので、かなり自由にやりたい放題をやった気がする。米ソが世界の超大国のトップ争いをしていた頃とは全然違う。

 今となっては、ソ連の躍進を宣伝していた西側記者たちの「退廃」「背信」はいくら糾弾してもしすぎることはないだろう。劇中に登場していたNYタイムズの記者の場合、ピューリッツァー賞をとっていたのだとか。

映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』拡大映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』=ハピネット提供

 この映画の主人公のイギリス人記者は、豊かさを誇示するモスクワとは裏腹に、当時のウクライナの飢餓状況を現場潜入取材で目撃して、社会主義ソ連の豊かさが虚妄であることを告発したのだが、当時の社会の反応は芳しいものではなかった。

 映画のなかにはジョージ・オーウェルも登場する。オーウェルはもともとジャーナリストだった。BBCにも勤務していた。スペイン戦争に参加してスターリンのソ連がどのような体制だったのかを知ったオーウェルは、その後、『動物農場』『1984』でソ連の独裁社会を告発し続けた。それから4分の3世紀の歳月が過ぎた。スターリン型社会を体現しているのは、中国だったり、日本だったり、ロシアだったり。

 あした、安倍首相の久しぶりの記者会見が設営された。健康不安説があるが、秋冬にかけてのコロナ対策の方向性について明らかにするだろう。「続投意欲表明へ」と共同原稿。

 一応、記者会見に参加できないかどうかを打診してみる。コロナ対策の名目で現在に至るまで、首相会見や官房長官会見は、官邸記者クラブ加盟社は1社1名の記者のみという制限が課されている。それを記者クラブ加盟社がのんでしまっているのだ。その枠以外に、フリーランス記者が申し込んで、抽選で参加を許可されるという暫定的な仕組みが続いている。一応、僕も参加を押してもらうことにしたが、望み薄だといわれる。早めに寝るか。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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