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デジタル庁にぜひメスを入れてほしい超アナログな選挙現場の実態

昭和から時代が止まったかのような世界。デジタル化で「利便性」アップが不可欠

大濱﨑卓真 選挙コンサルタント

コロナ禍で目立ってきた法運用と実態の乖離

 コロナ禍を通じて、法運用と実態の乖離(かいり)も目立ってきました。たとえば立候補者と選挙ポスター業者・選挙運動用自動車のレンタル業者間とで締結する場合、押印済みの契約書の複写を選挙前に選挙管理委員会に提出する必要がありますが、業者のなかに電子印鑑システムを導入したり、契約書を締結せずにECサイトを通じて商品を購入させるショッピングカート方式を導入しているところが増えてきました。その場合、押印済みの契約書の複写が存在しなくなりますが、現在の法運用ではそれを想定していないため、窓口で解決できず、上級庁などに疑義照会を行うケースが増えています。

 また、立候補に際しては、立候補者の氏名の「読み」が、本来の「読み」通りに立候補届に書かれているかを確認する必要があります(投票用紙に候補者名がひらがなやカタカナで書かれた場合、それを有効票とするか無効票とするかの判断をするため)。ところが、立候補関係書類の一つで国籍の有無を確認する「戸籍謄本」には、氏名は書かれていても読みは書かれていません。住民票も法的に必須の項目ではありません。住民票に記載されるかどうかは自治体によってまちまちです(記載されることの方が多いようには感じますが)。

 ただ、現在はこの「読み」を確認するために、わざわざ候補者が住民票を発行手数料を負担して交付を受けたうえ、持参するように指示する選挙管理委員会が数多く存在します。この点は、住民基本台帳ネットワークシステムが整備されているのですから、立候補者本人が住民基本台帳カードを提示したうえで、職員がシステムを参照して「読み」が登録上一致しているかを確認すれば解決するはずです。

有権者に届けるツールも紙、紙、紙

拡大image_vulture/shutterstock.com

 大量の様式に押印する手続きを経て、ようやく立候補した後の有権者とのコミュニケーションツールもまた、紙、紙、紙の連続です。

 たとえば皆さんにもおなじみの選挙ポスター。選挙の告示(公示)日、選挙ポスターを貼る人を見かけたことがあるかもしれませんが、自治体の規模にもよりますが、たとえば市議会議員選挙の数百箇所に散らばるポスター掲示場にポスターを貼りに行く作業は、人力作業の典型例です。事前に選挙ポスターは仕上がっているので、各候補者のポスターを掲示板に貼ってから、掲示板を設置すれば効率的と思うかもしれませんが、当日突然立候補する人もいるので、平等性の観点から今の運用になっています。

 これもデジタル化できないか。できます。

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筆者

大濱﨑卓真

大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント

1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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