メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

デジタル庁初代長官は竹中平蔵氏!?

菅政権「デジタル改革」の罠(3)

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

竹中平蔵氏との会食

 安倍前首相が辞意を表明した後、自民党内では、この疑惑を背負ったままの二階幹事長と組んだ菅義偉前官房長官vs疑惑だらけの安倍氏・麻生太郎財務相の暗闘が繰り広げられた。

 政策をめぐっての戦いでは到底ない。二階・菅組が暗闘を制して大勢が決まった後、石破茂氏と岸田文雄氏が参加して催された総裁選は装飾の施されたお祭りでしかなかった。

 菅氏は首相に就任して2日後の9月18日午前7時25分から1時間あまり、虎ノ門のホテルThe Okura Tokyoのレストラン「オーキッド」で竹中平蔵氏と会食した。

 前日の17日には選挙プランナーと会食しているが、首相に就任してほとんど初めに1時間あまりも話し込んだという事実から、菅氏にとって竹中氏がいかに重要な人物であるかということがよくわかる。

拡大竹中平蔵氏=2019年3月26日、東京都港区

 竹中氏は1977年に一橋大学を卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行。開銀の本流である企業の設備投資関係を研究分野にし、1981年にハーバード大学、ペンシルベニア大学で客員研究員を務めた。

 さらに、大蔵省財政金融研究室研究官や慶応義塾大学助教授などを挟んで、1989年にハーバード大学准教授、1993年にコロンビア大学の客員研究員などを務めている。

 竹中氏が当時居を定めていた米国では、1981年から89年までレーガン氏、1989年から93年まではブッシュ氏(父親)が大統領職にあった。共和党全盛時代であり、米経済学界はミルトン・フリードマンを旗頭とするマネタリズムが席捲していた。

 ノーベル経済学賞に輝いたフリードマンの考え方は、人間の経済的自由を根本に据え、政府の干渉や介入は極力抑制していこうとするもので、政府の経済政策は金融政策さえ適切に遂行されていれば問題は起こらないという思想に要約される。

 しかし、レーガンやブッシュ両氏、さらには英国のサッチャー首相、日本の中曽根康弘首相の政策に強い影響を与えたこの「新自由主義」(ネオリベラリズム=略してネオリベ)は、それぞれの国に経済的二極化、社会的分断をもたらし、完全に行き詰まっている。

 現在の資本主義社会で経済的自由だけを追求していけば、資本力の強い大企業がさらに強くなり、弱肉強食の社会が形成されることは明らかだ。1980年代から21世紀初頭にかけて各国が学んだ歴史的教訓だ。

 しかし、9月18日午前7時25分から1時間あまり虎ノ門のホテル・レストランで会食した新首相と経済人の対話は、残念ながらこの教訓から取り残された者同士のものだった。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

佐藤章の記事

もっと見る