山口 昌子(やまぐち しょうこ) パリ在住ジャーナリスト
元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。
仏内閣の閣僚は男女同数。フィンランドは世界最年少の女性首相。国際機関も女性が進出
メディア各社の世論調査の支持率が軒並み高く(9月21日発表のNHKの世論調査は62%)、上々の船出となった菅義偉首相率いる新内閣だが、残念なことがある。女性の大臣が2人、副大臣も3人と少ないことだ。
首相は外交分野に弱いとの指摘もあるが、まず認識してもらいたいのは、国際舞台では閣僚をはじめ国際機関などで活躍している女性が多いことだ。そのうち、電話会談ではなく、各国首脳らとの直接会談やG7をはじめ首脳会議も始まるはずだが、日本の女性閣僚の少なさがいかに国際潮流からかけ離れているか、たぶん実感できるだろう。
「これはスキャンダルだ!」。バカンスからパリに戻ってきた仏女性記者と久しぶりに会食したら、彼女はスマートフォンの写真を示しながら、そう叫んだ。彼女はテレビ局で20年のキャリアがあるベテラン記者だ。見ると、それは宮中での認証式を終えた菅義偉新内閣の記念写真だった。
何がスキャンダルなのか? 心配になって眺めていたら、「これこれ!」と菅首相の隣に立つ上川洋子法相を指さす。ブリジット・マクロン大統領夫人の超ミニスカートを見慣れているフランス人からみると、ロングドレス姿がちょっと野暮ったいのかな。そう思って、「日本では、これが正装なんです」と説明しはじめたら、「ノン、ノン」と遮られた。
「最初は女性閣僚が1人かと思って大ショックだったけれど、後列にもう一人発見したのでちょっと安心したけれど、それでもたった2人。少ないと思わないの?」と、彼女はカンカンだ。
後列の女性は誰か。目をこらしてみると、五輪・女性活躍相の橋本聖子だった。女性の活躍を担当する役職とは裏腹に、モーニング姿で威儀を正したおじさんたちに囲まれて、顔がチラッとみえるだけで、うっかりすると見落としそうだ。
閣僚20人のうち女性は2人。確かに少ない。副大臣も25人中3人だ。「すべての女性が輝く社会づくり」を標榜していた安倍晋三内閣の女性閣僚も決して多いとはいえかなかったが、菅首相も前首相に義理立てし、少数女性大臣も継承したのだろうか。
日本の新聞、週刊誌の中には、五つの派閥別の閣僚数を熱心に報道したところはあるが、女性閣僚の少なさに注目したのは、特派員電やSNSだったとか。
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