2020年10月02日
コロナ禍の中で高齢者が窒息気味だ。この先大丈夫か。
感染が終息気味だという。専門家はなぜ終息しつつあるか、その原因がわからないという。経済との両立でこれだけ人が街に繰り出している。3密回避はどこへ行ったやら、どこもかしこも人で混雑だ。それにもかかわらず、マスク着用と手洗いで、感染の勢いが止まったというのか。見れば、若年層はコロナなど気にも留めないかのようだ。
都心はいざ知らず東京近郊のレストランともなれば、週末は若年層でごった返す。店にもよるだろうが、個性的な、ちょっとしゃれたレストランなら若い女性客で満杯だ。ぎっしりと互いに間隔も開けず密接する席で、マスクなしに2時間、3時間と飽くことなくおしゃべりし続ける姿を見ると、これでは感染必至と早々に店を立ち去らざるを得ないが、そういうところでクラスターが発生したとはつゆ聞かない。3密回避はどうなったのか。
そういう中、感染防止に神経をすり減らしているのが高齢者だ。何せ、重症化率が高い。抵抗力は低下気味で、もし感染すればどうなるかわからない。慎重に慎重を重ねるに越したことはない。
かくて、緊急事態宣言が明け、世が経済との両立に向かい始め、Go Toが横行し、シルバーウィークで全国に人の往来が氾濫してなお、この層はひたすら自宅待機を続ける。さしたる趣味もない。年一回の旅行だけが楽しみだった。一日何もすることがないが、夕方近所のスポーツクラブに行き、仲間と取り留めのない会話をすることだけが楽しみだった。数カ月に一回、皆でカラオケに行き、ワイワイすることだけが息抜きだった。その全てが今、日程から消えた。ひたすら自粛だ。
スポーツクラブは若者が筋力トレーニングにいそしむ所、というのは昔の話だ。遅い時間はそういう人も来るが、昼間や夕方の早い時間帯は比較的健康な高齢者が施設を占拠する。何せ他に行くところがない。体を動かし、病気にならないならこれほどいいことはない。朝からヨガ教室に太極拳、柔軟体操に気功と大忙しだ。スタジオのトレーナーの真ん前に陣取るのはいつも決まった高齢者の面々だ。今や、アクティブシニアという語もあるくらい高齢者は元気だ。
その高齢者が、スポーツクラブから姿を消した。一時、スポーツクラブは感染の温床と言われた。狭いところに密集し、汗を流し、ハーハー息を吐く。これではいつ感染しても不思議でない。トレーニングが終わった後、サウナで汗を流し、仲間内と取り留めのない話をするのが楽しみだった。今はとんでもない。サウナは密室、狭い室内に大勢が座れば3密の代表だ。とてもこんなところに通うことはできない。
かくてスポーツクラブ通いをやめてもう半年近くになる。生活が一変した。
運動しない。あれほど熱心に通ったヨガ教室も太極拳教室もすっかりやめた。おかげで筋肉が硬直し血の巡りがすっかり悪くなった。
人と話をしなくなった。家の中はいつも決まった話で終わる。サウナの中の腹を割った話が懐かしい。しかし、
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください