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イスラエルで深刻化するコロナ感染、汚職で刑事被告人の首相主導の対策に高まる批判

[4]感染第2波で始まった都市封鎖で、広がるデモ規制

川上泰徳 中東ジャーナリスト

汚職問題を起こした「クライム・ミニスター」

 ネタニヤフ首相への批判が高まる背景には、首相の汚職問題がある。首相は2020年1月に収賄や背任の罪で起訴された。しかし、3月の総選挙を経て、5月に5期目となる首相に就任した。その直後の5月下旬、汚職事件の初公判があった。首相に対しては、イスラエルの有力新聞に対して優遇策を取る代わりに、自分に好意的な報道をするよう取り引きをもちかけたり、ビジネスマンから法外な値段の贈り物をもらったりしたという嫌疑がかけられている。

 ネタニヤフ首相は右派政党「リクード」の党首で、選挙では中道政党連合「青と白」との間で政権を争ってきた。ネタニヤフ氏は検察の汚職捜査による起訴を逃れようとして2019年4月以来、3度の総選挙を行った。3月の3回目の選挙ではリクードと「青と白」はどちらも首相を擁立できず、最終的には「コロナ感染に対処するため」に両者が参加する「挙国一致内閣」の樹立で合意した。議員の3年の任期のうち、ネタニヤフ氏が最初の1年半、首相を務め、残りの1年半を「青と白」のガンツ党首(現国防相)が務めるという合意だ。「青と白」はもともとネタニヤフ氏の議員辞職を求めていたが、連立合意では妥協した。

 しかし、国民の間には、首相が「刑事被告人」となったことで、

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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』(岩波書店)、『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)など。

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