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日本はどこに行くのだろうか~人事権の行使で異論を排除する危うさ

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

権力と学術の関係に慎重な配慮を

 この議論は権力と知識人の関係の本質にかかわることなのでうやむやに済まされるべきことではない。「政府の機関である以上、政府の考えを支持する学者が会員であるのが好ましい」と言いうるのか。学者やその他の知識人にとって政権であれ、学会の権威的意見であれ、批判的に考えるのは当然のことなのである。

 学者や知識人の役割は批判的に物事を考える事であり、そうすることにより学術的な進歩が得られる。批判を排除し、政府の意見通りの日本学術会議であってほしいと少しでも考えているとしたら、これは近代民主主義国家のあるべき姿ではない。そのような日本学術会議の持つ意味を深刻に問わねばならなくなる。

 私たちは中国やロシアがますます強権体制を強め国内の引き締めのために知識人の意見を封殺しているのに対し、強い反発を覚える。私が親しく交流してきた中国の学者たちはもう自分の意見は言わない。政府の公式論のみを口にする。これではもう意味ある知的交流は成り立たない。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月10日刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。2021年3月よりTwitter開始、毎日リアルタイムで発信中。(@TanakaDiplomat)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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