花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授
在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
トランプ政権と菅政権に見る人事権という甘い誘惑
中でもトランプ大統領は、この人事権を共和党の勢力拡大のため意図的に使ってきた。そもそもトランプ氏は、2016年の選挙キャンペーンで、連邦裁判所判事を保守派に置き換えることを公言しているし、大統領の数々の問題行動にも拘らずトランプ氏が議会共和党の支持を得ているのは、人事権を共和党の利益になるよう行使しているからでもある。トランプ大統領の4年間の最大の功績は、司法を共和党寄りに「改組」したことだ、との見方すら囁かれる。
実際、この4年間、リベラル派判事が次々と保守派に置き換えられてきた。連邦最高裁はもしバレット氏が任命されれば、トランプ氏の任命による保守派判事として3人目になるし、何より、著しい変化を見せたのが連邦控訴裁だ。1/3が保守派に置き換わった。
ところで、党派色が強い人事を行うのは共和党だけでない。民主党が政権を取れば、同じようにリベラル派判事を次々と司法の場に送り込んでいる。まるでオセロゲームを見るかのように、時の政権や上院の勢力により司法の色があっという間に塗り替わってしまう。
大統領は何だかんだ言っても、4年たてば選挙の洗礼を受け国民の意により解任することも可能だが、