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スガノミクスとは何か~「菅型民主主義」から考察する

村井英樹 自民党衆院議員

 菅政権が誕生した。7年8ヶ月に及んだ安倍政権の後継として、久々の政権交代となった。国民の期待も高く、政府・与党として、この期待にしっかり応えていきたい。

 今回の論考では、菅政権の経済政策の方向性を、私なりの切り口で整理し、国民の皆様やメディアへの問題提起を行いたい。

菅総理は「小さな政府」を目指しているのか?

 菅総理は、安倍政権の経済政策を継承することを強調している。同時に、携帯電話料金の引き下げ、不妊治療への保険適用、デジタル庁の創設など、菅総理ならではの新機軸も打ち出している。

 菅総理の経済政策を「スガノミクス」と呼ぶ報道も増えつつある。しかし、その内容や評価には混乱が見られる。メディアも、スガノミクスの本質をつかみかねているように感じる。

 菅総理は、自助の大切さ、競争の重要性を指摘している。役所の縦割り打破の必要性も強調している。これらは、一見すると、かつての小泉総理が推進した、「官から民へ」「構造改革」路線に通じるところがある。

 このため、菅政権に批判的な論者は、市場重視、弱者切り捨て、といった批判を行っているようだ。

拡大就任1週間を迎え、記者の質問に答える菅義偉首相=2020年9月23日、首相官邸

 しかし、この批判は短絡的に過ぎる。菅総理が小さな政府を目指しているのかというと、そうではない部分も多い。

 例えば、不妊治療への保険適用や待機児童の解消といった施策には、公費や社会保険からの歳出増が伴う。菅総理は、少子化対策には思い切った財政投入を行う方針を示したと言える。

 また、菅総理の持論である最低賃金の引上げは、政府が企業の賃金水準に介入する施策であり、米国なら民主党、英国なら労働党といった、大きな政府を掲げるリベラル勢力が推進する施策である。

 携帯電話料金の引き下げも、民間企業のサービスの価格に対する施策であり、決して市場万能主義ではない。

 Go Toキャンペーンをはじめとする観光振興や、中小企業の再編といった施策も、市場に任せる施策というより、政府が積極的に関わる施策である。

 このように、スガノミクスには、経済政策に関する従来の対立軸にうまくあてはまらない部分が多い。

 しかし、視点を変えて、政治の論理から見ると、スガノミクスがきれいに整理できることが分かる。

 スガノミクスの本質。それは、日本の民主主義のかたちが、55年体制から、官邸主導へと移行したことを踏まえて、供給者の視点ではなく、国民の目線に徹底的に拘るところにある。

 この点を理解していただくために、まずは、過去30年間の政治改革の流れをおさらいしておきたい。

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筆者

村井英樹

村井英樹(むらい・ひでき) 自民党衆院議員

1980年、埼玉県さいたま市生まれ。2003年、東京大学を卒業後、財務省入省。FTA交渉・税務行政・農林水産行政等に携わった後、米ハーバード大大学院に留学。帰国後、財務省主税局勤務。2011年退職し、政治家を志す。翌12年の衆院選で初当選し、以来当選3回。この間、自民党副幹事長や内閣府大臣政務官などを歴任。岸田派。

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