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再統一30年の転換点にあるドイツ

しかし、日本こそ転換点を乗り切る知恵が必要だ

花田吉隆 元防衛大学校教授

ドイツを揺さぶる欧州債務危機や難民危機

 その強いドイツの流れは現在に至るも続く。しかし、2010年ごろから明らかに異なる潮流が見えてきた

 「翻弄」の第三期を象徴するのが3つの事件、欧州債務危機(2010年~)、難民危機(2015年)、及び、トランプ政権の誕生(2016年)だ。それぞれ、冷戦後のドイツ台頭の条件である経済、政治、対外関係の安定を大きく揺さぶる。

 「欧州債務危機」はユーロ、ひいてはEU統合の根幹を揺さぶった。ドラギ欧州中銀総裁の「やれることは何でもやる」発言を経て、何とか危機は脱したものの、火種は今もくすぶる。もし、次の危機が到来するならそれはイタリアだろうと、ささやかれる。コロナ禍で各国が急速に債務を増加させる今の状況は危険だ。去る7月、合意をみた7500億ユーロ復興基金は、その多くがイタリア等南欧に回される予定だ。EUとしては、北欧の財政規律派を抑えてでも南欧を支援し、EU統合のタガを締め直す必要があった。

 欧州債務危機の後遺症は、債務国に課した緊縮財政だ。それにより、危機を脱したことは事実だが、厳しい緊縮政策は国民を政治的に過激化させた。それが「難民危機」と相まって今の欧州におけるポピュリズムを生んでいく。冷戦終結で自由民主主義は高らかに勝利を宣言した。よもや、右傾化の嵐が襲おうと誰が考えただろう。確かにそれは2015年、シリア等から怒涛のように押し寄せた100万を超える難民が直接の引き金だった。しかし、背後に、この30年、欧州の人々の心に溜まった「不安」がある。その不安は、グローバル化による格差拡大や緊縮財政が原因だ。

 ポピュリズムの嵐は全世界に及び、2016年、「トランプ大統領の誕生」で頂点を迎える。トランプ大統領の登場は、欧州の対外関係を大きく変えた。欧州の安全保障の基盤は大西洋同盟にある。しかし、大きく揺らぐ大西洋同盟を前に、もはや、欧州が米国による保障を100%信じることはない。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

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