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ディファイ(DeFi)に注目せよ:変貌する世界の金融

銀行そのものがいらなくなるという極論さえ可能な時代へ

塩原俊彦 高知大学准教授

 世界の潮流を紹介し、警鐘を鳴らすのが筆者の役割の一つであるとすれば、いま注目してほしいのは、「DeFi」(「ディファイ」と読む)だ。「分散型金融」を意味する“Decentralized Finance”の略語である。最近、米国の「ワシントン・ポスト」やロシアの「ノーヴァヤガゼータ」が報道するのをみて、日本でもそろそろこの言葉について理解し、対応策を考える必要性を痛感している。そこで、このDeFiについて論じてみることにした。

「DeFiとは何か」

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 2020年8月2日に更新された「ウォールストリート・ジャーナル」の記事には、「ビットコインの最近の利益の別の原動力は、暗号セクター自体のなかに現れている傾向、すなわち、新しい特別なアプリによって可能となる取引の急増だ。それは「DeFi」という愛称で呼ばれる分散型金融で、これらのアプリやサービスは主として借り入れ、貸し出し、暗号資産取引を容易にする」という記述がみられる。

 前述した「ワシントン・ポスト」記事では、「DeFiとは何か」が解説されている。「DeFiはブロックチェーンと呼ばれる、デジタル台帳上で金融機能を果たすダップス(dapps)として知られているアプリケーションを中心に展開している」というのが最初の説明だ。ブロックチェーンについては、拙稿「暗号通貨をめぐる翻訳の混乱:「通貨」を嫌う主権国家 「すべてを疑いなさい」」のなかで紹介したことがあるので、そちらを参考にしてほしい。

 問題は、ダップス(ディーアップスとも読む)である。これは、“DApps”と書かれることが多い。“Decentralized Application”のことで、「分散型アプリ」を意味している。記事では、「ダップスは他人との資金の貸し借りをしたり、さまざまな資産をロングまたはショートにしたり、コインを取引したり、預金のような口座で利息を得たりすることを可能にする」としている。

 記事によれば、このダップスによる取引は、「スマートコントラクト」と呼ばれるソフトウェアに組み込まれたルールによって管理される。ダップスのアプリは互いに接続でき、いっしょになって複雑な金融サービスをつくり出すこともできるという。つまり、銀行の主たる業務の多くをダップスはできることになり、ダップスに基づくDeFiが普及すれば、銀行そのものがいらなくなるという極論さえ可能な時代を迎えていることになる。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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