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支持率低落 菅首相は学術会議の二つの要望を受け入れるべきだ

適当に処理して一件落着とはいかない学術会議問題を打開する唯一の道は

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

首相と学術会議会長の会談が実現

 10月16日、菅首相と学術会議の梶田隆章会長との会談が実現した。

 この席で梶田会長は、学術会議で決めた首相への二つの要望を文書で手渡した。要望は、①推薦した会員候補6人が任命されない理由の説明、②その6人の速やかな任命――である。

 その結果、現在“ボール”は首相の側に投げられ、対応義務、回答義務が首相側に生じている。考えてみると、これは首相が今までの対応を軌道修正する貴重な機会を得たということになる。

 菅首相は99人が任命された段階で、任命されなかった6人が入った名簿を「見ていない」と明言している。それならば、6人を追加任命すれば、「拒否の理由」を示す必要性は薄くなる。

拡大菅首相と会談するため首相官邸に入る日本学術会議の梶田隆章会長=2020年10月16日午後3時13分

二つの要望への回答を迫られる菅首相

 10月9日の内閣記者会とのインタビューで、菅首相は「会長が会いたいのであれば会う用意がある」と発言した。これを受けて梶田会長は、就任の挨拶を兼ねて要望書を提出するために面会を申し出たという。

 前述した二つの要望については要望書に書いてあるので、会談の場で「本日はそこまで踏み込んだお願いをしていない」(梶田会長)というのも理解できる。それに学者が一人で首相官邸に出向き、首相と会うのはかなりの緊張を伴うであろう。

 菅首相は会談後、「学術会議が国の予算を投じた機関として、国民に理解される存在であるべきだ」との考えを伝えたと記者団に説明した。しかし、要望書への対応については言及せず、記者団に質問されても、コメントはしなかった。

 当然のことだが、公的機関が出した正式な要望書を握りつぶすことはできない。菅首相はこれから、二つの要望に対する正式な回答を強く迫られることになろう。それゆえ、この問題がいつの間にか消えてなくなるということはあり得ない。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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