メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

米中対立の中の日本の立ち位置

花田吉隆 元防衛大学校教授

主戦場はデジタル分野

 米中対立が新冷戦といわれるとしても、それはかつての米ソ冷戦と重要な点で異なる。

 第一に、米ソの冷戦は、核による軍事対立だった。米中間に核の抑止力が働いていることは同じだが、双方が核をもって軍事的に睨み合っているわけではない。主戦場はデジタル分野だ。双方が狙っているのはデジタル覇権であり、それはデジタル分野を制する者こそが次代を制すると考えているからだ。5Gを巡る争いはその最前線に位置する。

 第二に、主戦場がデジタル分野だということは、軍事衝突がないことを意味するわけではない。双方の全面的軍事対立はないとしても、偶発的接触による衝突の可能性は日々増している。2018年、双方の駆逐艦が南シナ海で異常接近したが、そういうことは今後もありうるだろう。

 他方、訓練レベルでは、米中は当然ながら全面戦争を想定している。焦点は、南シナ海に配備される中国の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)であり、米国は南シナ海の人工島を破壊しSLBMの無力化を狙う。逆に、中国はその防衛がカギだ。中国のSLBMが保持される限り、米国は第二撃の恐怖にさらされ、逆に中国にとっては抑止力を維持できる。7月4日から行われた米軍南シナ海演習は、空母2隻を動員しての大規模なものだったが、主眼は中国のSLBM無力化だった。これに対し、中国は、8月に行った南シナ海軍事演習で、中距離弾道ミサイルのグアムキラーDF26や空母キラーDF21Dを発射し対抗した。

 第三に、デカップリングがいわれ、デジタルの世界が二分するように見られるが、実際は、米中の経済は互いに密接に絡み合っており、かつて米ソが互いに独立した経済圏を創り上げた時とは状況が違う。TikTokにしても、米国としては、

・・・ログインして読む
(残り:約2215文字/本文:約3425文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

花田吉隆の記事

もっと見る