緊急事態宣言下のフランスで行政裁判所がフル稼働したワケ
自由が制約される場合の裁判所の役割について考える【1】
金塚彩乃 弁護士・フランス共和国弁護士

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フランスでは、一日の新型のコロナ新規感染者の数が3万人を超えるなど、感染者増が止まらない。そのなか、マクロン大統領は10月14日、10月16日から1日にかけての深夜零時から緊急事態宣言を発令するとともに、午後9時から午前6時までの外出禁止令を1カ月間発令すると宣言した。7月11日に緊急事態宣言が解除され、夏休みも楽しめたフランスでまた、新たな自由の制約が生じると大きく批判されている。
フランスのPCR検査。1週間あたり約140万件
3万人という数字を聞くと、納得する日本人は少なくないかもしれないが、この数字については相対化することも必要である。フランスではPCR検査数を飛躍的に増加し、現在1週間あたり140万件程度の検査を行っている。フランスの人口が日本の人口の約半分程度であることを考えると、日本だと一週間あたり300万件弱の検査が行われているに等しい。
検査は無料で、パリでは朝から検査を行っている場所に長蛇の列ができていた。空港でもPCR検査が義務付けられていない、たとえば日本からの入国者など向けに、希望者だけであるが、無料のPCR検査が受けられるようになっていた。下の写真1、2は、シャルルドゴール空港で荷物を引き取った後に出てすぐの場所に設けられているPCRの検査のためのカウンターである。
一方で、重症者の数も死者の数は、夏までに比べて大幅に減少している。

写真1 PCRの検査のためのカウンター①=パリ・シャルルドゴール空港、金塚彩乃撮影

写真2 PCRの検査のためのカウンター②=パリシャルルドゴール空港、 金塚彩乃撮影