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出国前にPCR検査、アメリカに入国してPCR検査

[212]学術会議問題で記者会見、前川喜平さん、ワシントン、ミネアポリス……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

10月14日(水) 朝、8時半に渋谷の病院に到着。予約してあったPCR検査を受ける。アメリカで大統領選挙取材のため出国するので検査を受けて陰性を確認されたことを英文の証明書にして持参することになっている。以前に2回同じ病院でPCR検査を受けた時は鼻腔に検査棒を入れる方式の検査だったが、今回は唾液を採取しての検査だった。結果は2時間ほどで判明したが、陰性だった。ひと安心。英文の検査証明書を作成してもらい、夕方再び病院に受け取りに来ることになった。

 15時から衆議院議員会館で憲法学者らによる日本学術会議任命拒否問題で記者会見。

記者会見をする憲法研究者の有志。右から清水雅彦・日本体育大教授、稲正樹・元国際基督教大教授、石村修・専修大名誉教授、植野妙実子・中央大名誉教授ら=2020年10月14日、東京都千代田区永田町の衆院第二議員会館拡大学術会議問題で記者会見をする憲法研究者の有志。右から清水雅彦・日本体育大学教授、稲正樹・元国際基督教大学教授、石村修・専修大学名誉教授、植野妙実子・中央大学名誉教授ら=2020年10月14日、衆院第二議員会館

 日体大の清水雅彦教授らの、なかなか危機感にあふれた会見だったが、そこで取材をしていたら、同じく取材に来ていたMさんから、何で今日同じくここでやった内田樹さん、大沢真理さん、小熊英二さんたちの記者会見に取材に来なかったのか、と質された。ええっ? そんな会見のこと全く知らなかったな。たぶん記者会見のマスコミ告知を担当している人が、鈍いのか党派的なのか、よくわからないが、ヤル気がないのかもしれない。まあいいか。

 大阪地裁の赤木雅子さんの裁判が午後一番であるけれども残念ながらそちらには回れない。今週の「報道特集」で赤木さんの特集を組んでいるので、Cディレクター、Tディレクターが取材しているはずだ。赤木さんは、夫の俊夫さんの自殺後に弔問に訪れた近畿財務局の上司らの音声テープを証拠として提出した。テープは実にさまざまな重要な内容を含んでいる。とりわけ「赤木ファイル」の存在について語っている直接の上司の発言は重要である。

 16時に渋谷の病院に陰性結果証明書を取りに行き、その足で、日本教育会館での沖縄辺野古裁判の学習集会に参加。国会議員らの壇上挨拶は何とかならないものか。ああいう集会の形式自体が時代遅れだ。

 その後、神保町でNと韓国YTN・I記者らと会合。I記者は実にきちんとした記者だとの第一印象は間違っていなかった。よく現場を取材している。徴用工問題などで実に参考になった。

 ところで、今朝の朝刊で朝日や東京がトップ扱いで大きく扱っていた非正規、契約社員らに対する差別的雇用の不合理を問うた最高裁判決がひどい。最高裁判決は、よくもまあ、あんな最低の判決を相次いで出せたものだと言うしかない。最高裁の林景一裁判長とか、宮崎裕子裁判長とか、判事たちは、非正規とか契約社員の現実なんか、生まれてからこの方、1秒たりとも理解したことなんかないのかもしれない。

最高裁の判決を受け、「不当判決」の旗を掲げる元東京メトロ子会社契約社員の原告ら=2020年10月13日午後3時16分、東京都千代田区20201013拡大最高裁の判決を受け、「不当判決」の旗を掲げる元東京メトロ子会社「メトロコマース」の契約社員たち=2020年10月13日

 下級裁判所の判断の方が1000倍マシだった。たとえばメトロコマース(地下鉄のキオスクなどの販売員などの会社)の契約社員の退職金訴訟については、東京高裁では、退職金という性格を考えれば正社員の25%くらいは支払うべきだとの判決を出していたが、最高裁は支払わなくても不合理ではないとしてゼロにした。日本の労働人口の4割が正社員ではないという現実をご存じないか。最高裁判事という地位にあぐらをかいて生きているのではないか。だからこそこんな判決文しか書けない。まあ最高裁の建物には、いないんだろうな、非正規とかさ。

 いやいや、最高裁判所の清掃作業を担当している会社の雇用形態でも調べてみようか。以前、入院した病院の清掃作業を担当している人に聞いてみたらミャンマーから来ていた人だった。腹立ちまぎれに調べてみたら、最高裁判事の月額給与(年収じゃない)は、長官が201万円、その他の判事が146万6000円。これに加えて各種手当やボーナスがきちんと支給されている。彼らの住んでいる官舎は都心の一等地にあって、1軒当たりの土地面積は平均1072平方メートル(324坪)、その月額使用料は平均わずか10万円だ。最高裁判事の退職金は、勤続年数などによって異なるが、単純計算でも1億円前後と言われている。

 だが一番問題なのは、民放テレビのニュース報道がこの大ニュースをきのうの夕方や夜のニュースできちんと扱っていなかったことだ。非正規、契約社員はテレビ局にとってはエッセンシャルな存在だ。そのことを編集長たちは全くわかっていないか、わかっていても、視聴率欲しさに知らんぷりをしたということだろう。ひどい。恥ずかしい。ニュースセンスがない。

 核のゴミの最終処理場の候補地に名乗りを上げようとしている北海道・寿都町の町長の言葉がひどい。「理想論では生きていけない。……だから、国を信用しましょうよ」。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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